PKCZ®×スヌープ・ドッグのコラボはなぜ実現した? VERBALが語る、世界展開のビジョン

VERBALが語る、LDHの世界展開

〈J-POP〉というジャンルとして、世界で認めてもらうことが夢


――本当に、人と人との繋がりが積み重なっていって実現していったんですね。すごく失礼な話なんですけど、こうした海外とのプロジェクトって、いくらかの金額をバーンと払って進めるタイプのものもあるじゃないですか。とくにLDHさんは超メジャーな会社でもあるし。

VERBAL:いや、とくに今回はPKCZ®の中で最もお金が発生してないプロジェクトっていうか…。ただ、お金をかければいいってもんでもないじゃないですか。どうやったらいいものができるか、アメリカだったらどういうレベルで進めているのか?って事をちゃんと模索しながら進めていったんです。普通に、交渉するのも自分たちでやりましたし。

――先ほど、前作は「僕たちにとって究極のJ-POP」だったとも仰っていましたが、VERBALさんにとってJ-POPはどういった位置づけのものですか?

VERBAL:僕は、海外のiTunes等で、〈J-POP〉ってカテゴリを作れるくらい盛り上げていきたいな、と思ってるんです。今って、K-POPのカテゴリはあるけど、J-POPはないんですよ。「変えよう、変えてやろう!」というおこがましい気持ちではないんですけど、僕たちからそういうJ-POPサウンドを提案していくと、日本も自ずと変わるんじゃないかなと思っていて。世界で通じる音楽・音楽観、それに、パフォーマンスやヴィジュアルだったりの面を目指していきたいんですよ。日本って究極のリミックス文化じゃないですか。海外からいろんなものを取り入れて、すごく良くしたり、それをまた世界に輸出したりして。なので、リミックスもしつつ、オリジナルも作っていって、「日本のJ-POPですよ」と提案するんじゃなくて、〈J-POP〉というジャンルとして、世界で認めてもらうことが夢ですね。

――昨今ではアジアの音楽シーンも世界からとても注目されていて、かつK-POPはアメリカのポップス・シーンにもどんどん食い込んでいっているような状況ですよね。ここに来て、日本は少し劣勢になっている部分も見受けられるのでは、と個人的に思うことが多いです。日本と、他のアジアの国とのギャップなど感じられることはありますか?

VERBAL:日本国内だけでやっていこうと思って活動してる人もいるので、それに対して「みんな変わろうよ」とは思わないですし、それはそれでいいと思うんですけど、世界に向けてというのであれば、それはやっぱりやり方を変えないといけないんじゃないかなと思います。例えば、韓国の場合は、世界に行かざるをえなかった国なんですよ。そもそも、CD屋さんの目の前で海賊盤を売っているような環境で、1000円のアルバムがお店の前の露店で100円で売られていたり、一番デカいライブ会場も20,000人~30,000人規模の箱で、数も少なくみんな取り合いだったりで、結局、みんな日本や他の海外の国でやるしかなかった。日本はずっと国内だけでビジネスが成り立っていたので、すでに色々なしがらみや座組がすでに出来ちゃってますよね。なので、これから海外を目指してやる場合は、独自のやり方でいくべきだとは思います。日本の仕組みのままで、人に任せて「じゃあ、スヌープとやりたいんでお願いします」って言ったら5000%実現しないですからね(笑)。とにかく、変えたいなら自分でやるしかない。

――海外との動きといえば、日本でもゆるふわギャングが88risingにフックアップされたり、HIYADAMは中国のHigher Brothersと曲を作ったり、kiLLaクルーは中国のフェスでライブを行っていたりと、次世代アーティストが続々とヴァーサタイルにアジアで活動している印象を受けます。こうした若手の動きはどう受け止めてらっしゃいますか?

VERBAL:超カッコいいと思います…というか、それが全てなんですよ! 今まで、いろんな大人の人たちが「いや、無理だよ」って言ってたのを、ポーンと自分たちでやっている。今の若い子たちに感じるのは、いい意味で割り切り方がうまいと言うか、クレバーな子が多いと思います。僕の世代の人たちって「それはリアルじゃねえ」とか、ちょっと職人気質の人が多かったんで、ちょっと面倒くさい部分もあった。例えばkiLLaクルーの人たちは、ある時はアーティストとしての活動をするけど、またある時は裏方的な動きをしてイベントもやってるような、いい意味でスマートな印象です。

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