坂道AKB「国境のない時代」から読む、AKBグループ、乃木坂、欅坂の現在地
坂道AKBの新曲「国境のない時代」のMVが、AKB48の公式YouTubeチャンネルに公開された。
坂道AKBは、AKB48グループ、乃木坂46、欅坂46からなる坂道シリーズのメンバーが集結したグループ。同曲は「誰のことを一番 愛してる?」からほぼ1年ぶりの第2弾楽曲であり、3月14日発売のAKB48『ジャーバージャ』Type Eに収録される。前作では、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)にてパフォーマンスもオンエアされ、大きな話題を生んだ坂道AKB。その際に、「坂道AKBは“今のエース”が集結したグループ」であると書いたのだが、それは今作にも言えることである(参考:坂道AKBには“今”のエースが集結しているーー同世代が刺激し合うコラボへの期待)。前作から大きく変化したメンバー構成や楽曲パフォーマンスについて、本記事では迫っていく。
まず、今回のメンバー計18名の内訳は、AKB48から岡田奈々、岡部麟、小栗有以、向井地美音の4名、SKE48から松井珠理奈、HKT48から宮脇咲良となり、AKB48グループ全体では6名。次に乃木坂46から大園桃子、久保史緒里、齋藤飛鳥、堀未央奈、山下美月、与田祐希の6名、欅坂46から今泉佑唯、小林由依、菅井友香、長濱ねる、渡邉理佐の5名、けやき坂46から加藤史帆となり、坂道シリーズからは12名。前作と各グループの比率は同じであるが、センターが平手友梨奈から長濱へと交代していることが最大の特徴だろう。さらに、今回初参加となったのは、今春始動するAKB48チームA新キャプテンに任命されている岡部、乃木坂46 3期生から大園、久保、山下、与田、欅坂46から2作連続でセンター平手の隣のポジションを担う小林、けやき坂46からは見た目とは裏腹のおちゃらけキャラの加藤が抜擢された。メンバーの変容を追うことで、坂道AKBが今の各グループを背負って立つエースへと刷新されていることが分かる。
今作の作曲はAKB48「僕たちは戦わない」、けやき坂46「僕たちは付き合っている」などを担当しているYo-Hey。振付は前作に続き、欅坂46を手がけるTAKAHIRO、MVも2作連続となる東市篤憲が監督を務めた。楽曲がメディア初オンエアされた2月28日放送の『AKB48のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)では、岡田が当日のMV撮影の裏側について語っていた。ダンスの振り入れは早朝の6時から12時までの6時間、映像自体もダンスパートメインであるため、撮影は丸1日かかったという。床面の煌びやかなLED演出や随所にインサートされる楕円形のミラーは、前作から通ずるテーマ性を感じさせる。また、衣装もAKB48、乃木坂46、欅坂46とでそれぞれ違っており、冒頭にはAKB48「桜の花びらたち」「恋するフォーチュンクッキー」、乃木坂46「制服のマネキン」、欅坂46「世界には愛しかない」の印象的な振付が取り入れられている。岡田はこれを“らしさ”と例えていたが、まさに「国境のない時代」というタイトルを象徴した坂道AKBが“ドリームチーム”であることを物語ったカットである。
昨年とほぼ同時期に坂道AKBの新曲が発表されたことで、例年の恒例になっていくことも十分考えられる。前作同様、TV番組でのパフォーマンスが望まれるところだが、一番にファンが期待していることは、ライブでの披露。3グループが集まることは、スケジュール的にも困難を極める。しかし、過去に乃木坂AKB「混ざり合うもの」が、AKB48と乃木坂46のコンサート中継により実現したように、いつかパフォーマンスしてほしいと願うばかりだ。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
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