安室奈美恵は“200万枚を売り上げた最後のアーティスト”となるか? 2017年最終週チャート分析

安室奈美恵『Finally』

 例外は安室奈美恵。コアファンの枠を超え、『Finally』は今も老若男女に求められ続けています。4週前の記事で「150万枚突破!」と書きましたが、先週も5.4万枚、今週もまた5.4万枚を売り上げ、いよいよ180万枚を突破しそうな勢い。数字が衰えないのは『第68回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)出場決定のニュースが大きかったようですが、だからこそ、いざ『紅白』が終わってみればまだまだセールスが伸びることは容易に想像できます。2018年になって、安室奈美恵は「200万枚を売り上げた最後のアーティスト」と呼ばれるのかもしれません。あるいは「コアファン以外もパッケージを求めた最後のアーティスト」と。

 CDメディア勃興時代に歌とダンスに目覚め、初期に流通していた縦長のシングル(通称・短冊CD)でデビューし、CDバブル全盛期に最初のキャリアハイを迎えた彼女。2000年代に入ってからテレビで彼女の姿を見る機会はぐんと減っていきますが、それでもCDジャケットで変わらぬ美貌を確認し、またジャケット内に散りばめられたクールな写真に惚れ惚れしながら、ファンは「安室ちゃん健在!」を感じ取ってきたものです。

 最後のベスト盤。やっぱり配信じゃ無理。CDをこの手に持っておきたい。そんなふうに思わせるアーティストは、この先、もう出てこないでしょう。年末が近づけば近づくほど切ない気持ちが高まっていきます。

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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