倉木麻衣、12年ぶり紅白出場への期待 大きな飛躍を遂げた2017年の活動から紐解く
倉木麻衣が12月31日の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に出場する。披露するのは、もちろん十二単衣の衣装で大きな話題を呼んだ「渡月橋 ~君 想ふ~」だ。豪華な衣装や演出が予想される『紅白』のステージ。倉木はどんな艶やかなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。思えば、今年は倉木にとって大きな飛躍を遂げた1年だった。その歩みを振り返り、大晦日を楽しみに待ちたい。
最新技術で魅せるオリエンタルビューティー
今年、倉木が発表した作品には大きな特徴があった。それは、最新技術を用いた新たな挑戦と、日本古来の美の伝承だ。1月にリリースされた『YESTERDAY LOVE』は、日本初のVRシングル。“レーザーの魔術師”の異名を持つ東市篤憲が監督を務め、4K高画質で360度撮影されたリアルなMVは、倉木自身も「現実との境目が分からなくなり、夢か現実か、現実か夢か(笑)と」と語ったほどだ(参照:倉木麻衣、日本初のVRシングル「YESTERDAY LOVE」1/11リリース)。また、本作で、倉木はヘアスタイルを黒髪の前髪を揃えた“姫カット”にし、オリエンタルビューティーを強く印象づけることになった。
2月には5年半ぶりのオリジナルアルバム『Smile』をリリース。それだけ長い間、アルバムが発表されていなかったのは意外だったが、その間の倉木はチャリティやボランティア活動に積極的に取り組んでいた。震災の爪痕残る日本の東北地方から、子どもたちの未来を切り拓くべく寺子屋設立を目指すカンボジアまで。日本と世界、そして自分自身をしっかりと見つめてきた結果、倉木は1一人ひとりに笑顔を届けることを心に誓ったのだろう。その強い意思を『Smile』というアルバム名からも感じることができる。各地を巡り、2ショットの自撮りキャンペーンを実施するなど、ファン一人ひとりとの交流を深める姿にも注目が集まった。高度なテクノロジーと、並行してリアルなコミュニケーションも大切にしていく……そんな倉木のバランスの良さを感じた試みだった。
そして4月には、今年を代表する1曲となったとも言える『渡月橋 ~君 想ふ~』をリリース。歌番組に十二単衣で登場するやいなや、SNSを中心に大きな話題に。9月には歌の舞台となった京都嵐山とコラボレーションし、京都観光おもてなし大使に就任するなど、着物姿で見かける機会も増えていった。本作京都盤ではNTT西日本グループの最新技術を使用したMVに挑戦。平安の雅な世界が、平成の技術で蘇る。そんなワクワクするようなイリュージョンを見せてくれたのが印象的だった。
国境と世代を超えて愛される存在に
国内での精力的な活躍と並行して、大きな節目を迎えたのが『「同じアーティストにより歌われたアニメシリーズのテーマソング最多数」』という世界記録の樹立だ。倉木が、人気アニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)と共に歩んできた時間は、実に17年。コラボレーションした楽曲は、なんと21曲にも及ぶ。もちろん、「渡月橋 ~君 想ふ~」も最近作の劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』の主題歌となり、多くの人に愛される楽曲となった。倉木の公式YouTubeチャンネルに投稿されたショートバージョンのMVは、再生回数877万回を突破(2017年12月27日現在)。『名探偵コナン』は、世界20ヵ国で放映されていることから、動画のコメント欄には海外ファンの書き込みも目立つ。
実際に倉木も「“あっ、コナンのお姉さんだ!”と言ってもらえたり、幼い頃ファンだった方がお子さんをご出産されて家族でコナンを楽しんでいるという方もいました。日本だけじゃなくて、中国はじめアジア圏でも、コナン君はとても人気が高くて、好きで続けてきたことがどんどんと世界に広がっていって、私自身、本当に驚いています」(参照:書籍『ギネス世界記録 2018』 公式インタビュー : 倉木麻衣)と、その手応えを感じている様子。
ギネス認定のニュースが駆け巡ると、ファンから「21曲すべてを収録したアルバムを!」という声が殺到。その要望に応える形で『倉⽊⿇⾐×名探偵コナンCOLLABORATION BEST 21 - 真実はいつも歌にある!-』もリリースするなど、やはりファンの笑顔を第一に考える動きも目立った。まっすぐな愛や友情を描く『名探偵コナン』と倉木の透明感のある歌声。進化を続ける中でも、決してブレることのない魅力が、世代を超えて愛される所以だろう。