THE SLUT BANKS、ド派手な新作が示すバンドの真骨頂 メンバーコメントとともに分析

THE SLUT BANKSが示すバンドの真骨頂

 「現在のこのメンバーで新録できたことに喜びを感じています」TUSKがそう語るのは、「Please」。2ndシングル『PIKA-BANG』(1998年)のカップリング曲でありながら、スラット楽曲の中でも稀代の名バラードとしてファンの間でも人気の高い楽曲である。

「自分の作った曲の中でとくに気にいってる曲で、いつかは録り直したいと。20年目で念願叶いました。出来も気にいってます」(戸城)

 重厚なディストーンションギターで覆われた元曲とは対照的にアルペジオとアコースティックギターのストロークが楽曲を差配する。最初聴いたとき、アレンジの方向性は変わっていないように思えたのだが、聴き比べるとサウンドアプローチがだいぶ違うことに気付く。方法論は違えど、元曲イメージは損なわれていないという不思議な感覚に見舞われるニューアレンジ。言葉を噛み締めるように歌うTUSKのボーカルも、歳を重ねて深みを増し、あの当時とはまた違う楽曲の側面を引き出す。

 そしてこの楽曲の雰囲気を大きく色付けているのが、大胆に入れられたストリングスだ。ラスト「so slow」のどこか漂うメルヘンさもストリングスの役割が大きく、「TARGET」は、DIE(Key)のピアノがアレンジ&サウンド面のフックになっている。パンキッシュで硬派な印象の強い彼らだが、こうした“メンバー以外の音”を入れることに対して、こだわりはあるのだろうか。

「The BaatlesやThe Rolling Stonesなどの偉大なる先代の教えとして、曲によってメンバー以外の音はアリだと思ってます。アレンジの仕上がりは作曲時点で大体想定してます」(戸城)

 以前、「レコーディングが終わっても曲は完成じゃない。ライブで進化していく」といったことを言っていた。(参考:THE SLUT BANKSの大攻勢! 結成20年の心意気明かす「古いロックの焼き直しにはしたくない」)ボーナストラックとして収録されている「RUN GIRL LOVE」は、前作『1996 FIND MY WAY』の収録曲であり、この短いスパンで再録したのはまさにそういうことだろう。より鋭く、より荒々しく、ライブ感のある仕上がりになっている。

「ライブで慣れてバンドのテンポ感が良い感じになったので録り直そうと。やってみてつまんないと思ったら、ボツにしちゃうこともあるんですけど、この曲は気に入ってるってのもあります」(戸城)

 メジャー復帰、結成20周年、べストアルバムリリースという節目を迎え、意識的含め、何か変わったところは? の問いに対し、「そこは、全くないです」と答える戸城に安心感すら覚える。彼らは変わらず飾らず、このまま突き進んでいくのだろう。とはいえ、暴走具合はとどまることを知らない。

「20周年全国ツアー、みなさんに歓迎祝福していただき感謝しています!! だからと言って変わったところはありません。いつも通り、やりたいことをやりたいようにやりまくるだけさ」(TUSK)

 これが、THE SLUT BANKSなのだ。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

■リリース情報
『ダイレクトテイスト』
発売:2017年12月6日
価格:¥3,000(税抜)
[収録曲]
01.月と便所
02.ケチがついてるエブリデイ
03.イスラエル
04.どら猫とダンス
05.Please
06.HeadAction
07.なりふりかまわず
08.恋の行方
09.激しい風穴
10.TARGET
11.ダイレクトテイスト
12.Ghost Town
13.so slow
14.RUN GIRL LOVE (新録Bonus Track)

■ライブ情報
『ザ・スラットバンクス “祝!Full Album Relaese TOUR” 2018~新春単独公演~』
1月6日(土)代々木labo
『 ザ・スラットバンクス“祝!Full Album Relaese TOUR”ようこそ地獄ヘルズツアー2018』
1月12日(金)福岡the voodoo lounge
『ザ・スラットバンクス“祝!Full Album Relaese TOUR”2018』
1月13日(土)福岡DRUM SON
『ザ・スラットバンクス“祝!Full Album Relaese TOUR”Droog × THE SLUT BANKS 別府決戦 2018~ドルーグの家~』
1月14日(日)別府CopperRavens
『ザ・スラットバンクス“祝!Full Album Relaese TOUR”ようこそ地獄ヘルズツアー2018』
1月16日(火)小倉FUSE
『ザ・スラットバンクス“祝!Full Album Relaese TOUR”ようこそ地獄ヘルズツアー2018』
1月17日(水)広島SECOND CRUTCH
『ザ・スラットバンクス“祝!Full Album Relaese TOUR”ようこそ地獄ヘルズツアー2018』
1月18日(木)岡山Desperado
『ザ・スラットバンクス“祝!Full Album Relaese TOUR”ようこそ地獄ヘルズツアー2018』
1月20日(土)神戸ART HOUSE
『ザ・スラットバンクス“祝!Full Album Relaese TOUR”ようこそ地獄ヘルズツアー2018』
1月21日(日)心斎橋KING COBRA
『ザ・スラットバンクス“祝!Full Album Relaese TOUR”ようこそ地獄ヘルズツアー2018』
1月22日(月)京都VOXhall

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