ドリカムのラブソングはなぜ世代を越えて愛される? “言葉の魅力”をMACO&井上苑子が語る

ドリカムのラブソングはなぜ世代を越えて愛される? “言葉の魅力”をMACO&井上苑子が語る

「色んな想いを呼び起こされることにいつも心が震える」

ーーMACOさんもご自身で作詞していますが、吉田美和さんから影響を受けている部分もありますか?

MACO:ありますね。さっきも言いましたけど、私は「これはきっと吉田美和さん自身が経験したことなんだろうな」と思っていて。自分で作詞するときもそうなんですよね。ずっと「歌詞は実体験が8割くらいで、妄想が2割くらい」って言ってたんですけど、妄想のなかにも自分の体験が入り混じってるし、結局、体験したこと以外は書けないんだなって。そのことは新しいアルバム(3rdアルバム『メトロノーム』/11月15日リリース)の制作中にも痛感しました。実際に経験したことしか表現できないし、着飾った言葉を書こうとしても無理なんですよね、私には。

ーーそれはドリカムの歌詞から学んだことでもある、と。

MACO:はい。吉田さんは話し言葉も歌詞に使うじゃないですか。「~でさ」とか、ライブのMCで話しているようなニュアンスもそのまま入っていたり。吉田美和さんだから安心してその世界に入っていける感じもあって。それも絶対にマネできないなと思います。

ーーなるほど。ドリカムのライブもよく観てるんですか?

MACO:じつは去年の夏のイベント(『私だけのドリカム THE LIVE in 万博公演』/2016年7月10日)で観させてもらったのが初めてだったんです。私も出演させてもらって、「ついにドリカムのライブが観れる!」って楽しみにしてたんですけど、最初から最後まで泣きっぱなしでしたね。そのときの自分の精神状態は特に辛いことがあったわけでも、めちゃくちゃ幸せということでもなかったんですけど、すべての曲が自分の思い出の引き出しとつながっていて、結局、ずっと泣いていて(笑)。「お願いだからこのライブが終わらないでほしい」と思ってました。吉田さんはライブ中、ずっと笑顔を絶やさないんですよ。トークのかわいい感じもそうですけど、全部がにじみ出ていて。それがそのまま曲にも出てるんですよね。

ーーDREAMS COME TRUEのニューアルバム『THE DREAM QUEST』がリリースされましたが、MACOさんはどんな印象を受けましたか?

MACO:1曲目(「THE THEME OF THE DREAM QUEST」)のイントロから「ドリカムさんのアルバムが来た!」って思いました(笑)。想像もしてなかったような音が入っていて、最初からワクワクしましたね。好きな曲はたくさんあるんですけど、まず「世界中からサヨウナラ」がいいなって。世界中の国の言葉で<サヨウナラ>って言ってるんですけど「こんなにポップに<サヨウナラ>を表現できるんだ?!」と思って。こんな雰囲気で「弱い自分にサヨウナラ」って歌えるのは吉田さんしかないなと思います。ラブソングもすごくいいですね。「あなたが笑えば」は本当に吉田さんらしいラブソングだし、「あなたと同じ空の下」はライブで聴いた思い出が蘇って。「普通の今夜のことを ‐ let tonight be forever remembered ‐」も好きですね。これもさっき言った「あなたがいるから○○できる」なんです。<クソつまんない時も いつだって きみがさ いるんだよ>って。

ーーそうですよね。でも<クソつまんない時も>って言葉を歌詞に入れるのも吉田美和さんだからできることだと思います。

MACO:私が書いたら、たぶん周りからストップがかかるだろうな(笑)。でも「クソつまんない」って気持ちになるときは誰にでもあると思うし、この曲では「そんなときでも愛している人が側にいてくれた」と歌っているんですよね。あと「スマホ」(<スマホに聞いたって 答えのないたくさんの/小難しい選択ってやつ>)という言葉が出てくるのもなぜか嬉しかったです。身近な感じというか、ホッとできるなって。

ーー「堕ちちゃえ」のような憂いを含んだラブソングはどうですか?

MACO:いいですよね! 付き合ってる人に<あなたみたいな人は/きっと地獄に堕ちるよね>って言ったら、相手の人が<俺もそう思う>って返してきて。私だったら、何で開き直ってるの?と思っちゃうけど(笑)、この曲では<そんなこと言えるほど わたしをもう好きじゃないんだ>と思ってしまう。めちゃくちゃリアルなんですよね、そこが。この曲の女の人は彼のことがまだ大好きで、でも、上手く噛み合ってなくて。そういう痛いところを歌っているんだなって思いますね。憎しみと愛してるの狭間というか……。吉田さんは、口に出したら怖いって思われるかなという感情を歌として表現できるんですよね。日常的な場面のなかで暗い部分、イヤな気持ちを歌っていて。それも全部好きだからなんだなって気付かされるんですよね、曲を通して。

ーーデビューから30年近く経ってもこんなに生々しいラブソングを生み出せるって、すごいことですよね。

MACO:溢れ出てくるんだとおもいます。吉田さんと中村さんの楽曲を聴いて色んな感情に浸れること、色んな想いを呼び起こされることにいつも心が震えますね。

(取材・文=森朋之/撮影=三橋優美子)

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