嵐 松本潤、“抑える演技”で見せた真骨頂 主演映画『ナラタージュ』で全うした役割とは?
嵐・松本潤が主演の映画『ナラタージュ』が、本日10月7日より公開される。
松本の主演映画は『陽だまりの彼女』(2013年)以来4年ぶりであり、公開前から同作への出演に期待を寄せる声を多く耳にした。原作は小説家・島本理生が20歳の時に書き下ろした恋愛小説。松本演じる高校教師・葉山と有村架純演じる生徒・泉が出会い、決して許されない、一生に一度の恋に激しく引き寄せられていく様が描かれている。
目にかかる前髪、黒縁の眼鏡、抑えた色味の服装。話し口調はおだやかで、声を荒げることもほとんどない。葉山はこれまで松本が演じてきた役の中でもかなり控えめな役柄である。しかし、だからこそその言葉運びの間やちょっとした表情の変化からさまざまな心情・感情を読み取ることができる。『ぴあ Movie Specia』(2017年10月20日発行)の松本のインタビューでは、「普段の僕が100だとしたら、40%にしてほしい」と行定勲監督からリクエストがあったことを明かしていた。
松本は、嵐ではコンサートのステージ演出を手がけ、その時々の嵐が表現すべきことは何かを常に考えてきたメンバーとして知られている。ステージに立つための練習や準備以外の時間も、嵐のエンターテインメントを徹底的に追求すべくスタッフたちと話し合いを重ねるといった裏方に徹する機会も少なくない。『ごくせん』『花より男子』など花形の役どころを多く演じてきた役者・松本潤とは異なり、嵐の中ではそれぞれのメンバー、ひいては嵐全体が輝くよう自らのポジションを確立している存在なのだ。今回の『ナラタージュ』でも、葉山という役を通して、作品全体の空気を作り出すという役割を全うしていた。
一方で、そのような抑えられた演技だからこそ、より際立っていた部分もある。松本がまなざしで表現する心の機微である。『ぼくらの勇気 未満都市』や『スマイル』、『きみはペット』『99.9 -刑事専門弁護士-』など、これまで演じた役柄でも発揮されてきたように、松本の演技の真骨頂は“瞳で語ること”にあると考えている。今回の葉山も、絶望、孤独、愛……あらゆる感情を、数少ない台詞の間とまなざしで表現していた。また、指先まで神経が注がれた繊細な動きや仕草から溢れる色気。これは嵐としてステージに立っている時の所作にも通じるものがあった。