ミニアルバム『OTONARIさん』リリースインタビュー
パスピエ、新体制で再確認した“音楽を第一にする”創作スタンス 「楽曲を拠り所にしたい」
「周りによって自分が動かされるのもすごく新鮮だった」(大胡田)
ーーライブのサポートドラムは主に佐藤謙介さん(ex.踊ってばかりの国、髭(HiGE)、井乃頭蓄音団など)が担当していますが、パスピエの楽曲を演奏するには、かなり高度なテクニックが必要ですよね。
成田:確かに求めることは多いかもしれないですね。ただ、彼が叩いてくれたことで僕らにとってもいろいろなことに気付かされるきっかけになってるんですよ、実は。「この曲で伝えたいのはこれだよね」ということが明確になったり。
大胡田:うん。
成田:リハーサルのなかで「サビのノリをこういうふうに変えてみよう」だったり、過去の曲に立ち返って考えることも多くて。
三澤:すごく細かいことなんですけどね。「何拍目の音を抜いてみよう」みたいなことなんだけど、それだけもずいぶんノリが変わったりするんで。
ーーサポートドラマーと演奏することが、既存の曲を見つめ直す機会になっていると。新体制になってからの最初のライブはいつだったんですか?
三澤:UNISON SQUARE GARDENとの対バン(2017年6月1日/高松festhalle)ですね。
成田:5月末に脱退を発表して、6月1日に最初のライブがあって。
ーーめちゃくちゃ大変じゃないですか。
成田:そうですね(笑)。そのときのライブに関しては、まず、UNISONに感謝ですね。僕らの状況を理解してくれたうえで、胸を借りる場所を作ってくれたので。UNISONとは過去にもお互いのライブに呼んだり、呼んでもらったりしていて。深く関わっているバンドとの対バンで新しい一歩を踏み出せたのも良かったと思います。
ーーライブの手応えはどうでした?
大胡田:いままでとは全然違う感覚でしたね。ドラマーが変わればバンド全体も変わるし、当然、聴こえてくる音もまったく違っていて。イヤモニのバランスも変えたんですけど、「それはそれで良い」という感じでした。生き物らしいなって。
ーーバンドは生き物ってこと?
大胡田:あ、それもありますね。バンドもそうだし、一つ何かが変わるだけでこんなに大きく変化するなんて、私たちは確かに生きてるんだなって(笑)。自分が周りを動かすのも楽しいですけど、周りによって自分が動かされるのもすごく新鮮でした。成長できてる気がするというか。1時間くらいのわりと長尺のライブだったし、最初は「どうなるだろう?」ってドキドキしてましたけど。
成田:手応えもありましたね。オーディエンスもすごく応援してくれたし、支えてくれてる感じがあって。そこに対しては僕らも全身で返していかないとなって。