桑田佳祐スペシャルインタビュー 「テレビ歌謡で育ったことが、僕の人生観を作った」

桑田佳祐スペシャルインタビュー

 桑田佳祐のニューアルバム『がらくた』リリース記念特別番組『桑田佳祐“がらくた”SPECIAL』が、8月26日にスペースシャワーTVにてオンエアされた。リアルサウンドでは、その特集として、先日いとうせいこう、大谷ノブ彦(ダイノジ)、柴 那典、R-指定(Creepy Nuts)、Licaxxxが参加した、討論会「がらくたの夜会」のレポートを掲載。今回は、いとうせいこうをインタビュアーに迎えた桑田佳祐への独占インタビューを掲載する。桑田が考える今のバンドシーンからデビュー当時のエピソード、『がらくた』収録曲のサウンドにある様々なジャンルの音楽について語った貴重なインタビューとなっている。(編集部)

今のバンドシーンに思うこと

いとうせいこう(以下、いとう):過去にお話を伺った際に、桑田さんは今も若いバンドに自分でもどうにかしてるなって思うくらい嫉妬をしていると言っていました。今回の「過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)」でも、<今では ONE OK ROCK/妬むジェラシー>って。座談会でもみんなその歌詞にちゃんと反応していて。R-指定はラップ用語で「パンチライン」って言っていましたね。「このアルバムの最初の決め言葉はあそこです」と。

桑田佳祐(以下、桑田):へえ、そう!

いとう:いろんな人にまだ嫉妬してるんですか?

桑田:まあ嫉妬っていうかね、もう……得体が知れないよね。

一同:(笑)。

いとう:自分がってことですか?(笑)。

桑田:いやいや、やつらが(笑)。ONE OK ROCKだとかRADWIMPSだとかいるじゃないですか。僕はもう60歳すぎていますから、まったく同じではないと思いますけど。この間もフェス(『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』)に出演したんですけど、僕の前はゆずが出ていて。ゆずって健康的な、健全な芸風かなと思っていたんだけど、まあ客を煽り倒すんですよ。

いとう:そうなんですか。

桑田:だけど、お客さんも素直に、もう身の丈いっぱい盛り上がるので、私出にくくなっちゃったんですよ。

いとう:(笑)。全然それはないと思いますけどね!

桑田:みんなちゃんとしていますよね、それぞれが個性を持っていて。昔我々のときは明らかに元ネタがあるような、そういう感じだったけど、今の人はーー。

いとう:オリジナルを感じるということですか?

桑田:はい。フェスに出て思ったんだけど、僕が大人が作る芸能とすれ違った時期は、ロックっていうおまじないとか、腕っ節が強いような雰囲気に、僕らも飲まれていった時があったなと思うんですよね。

いとう:でも、それは今おまじないだったなって感じてるんですか?

桑田:うん。思い込みだったなというかね。

桑田、デビュー当時の衝撃

いとう:桑田さんはデビュー当時、短パンで出てきてね。「うぉー! なんじゃこりゃー!!」っていう衝撃を僕らは受けて。

桑田:僕、短パンはいやだったんですよ。

いとう:いやだったんですか?

桑田:あの頃、短パンってロックじゃないみたいな感じだったから。やっぱり、世良公則&ツイストやCharさんがいて、みんなジーンズとか履いて、きちっとした格好をしてたじゃないですか? 僕らはジョギングパンツとかだから(笑)。そこでまた違っちゃったんですよ。今思えばよかったのかもしれないですけど。昔『傷だらけの天使』っていうテレビ番組があったでしょう? 萩原健一と水谷豊が出ていた。僕ら、本当はああいう格好で出たかったんですよ。

いとう:あぁ、なるほど。

桑田:原宿にお店あったでしょ? あそこ行ったら高いんですよ(笑)。僕らはひとり1万円だって言われて、そこ行ったら買えなくて。それで、ラフォーレのほうに向かったらスポーツ屋があったんですよ。そこで「明後日『夜のヒットスタジオ』出るんだ」って言ったら、ジョギパンが出てきちゃったの(笑)。

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