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1stアルバム『掌の戦争』インタビュー

音楽、映像、ノベル、コミック……nowiseeが発信するJ-POPの進化形「背骨になるのは音楽」

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 2015年、8月8日午前8時8分8秒に始動。24ヶ月連続で毎月8日に新曲をリリースし続ける謎のプロジェクトnowisee(ノイズ)をご存知だろうか? メンバーの実名は明かされていないが、携わってきたCDの総売上が1,500万枚を超すという6人組の異才集団だ。

 ニューカマー・アーティストがブレイクしづらいと言われる昨今の音楽シーン。しかしながら、YouTubeでの動画がきっかけで人気者となった岡崎体育や、機能性の高いメロコア曲によって一気に知名度をあげてきたヤバイTシャツ屋さんなど、これまでにないアプローチが話題を呼び、新しい風が拭きつつある2016年。そんななか、ボカロ文化〜フェス文化〜スマホ文化を経た今こそ注目したいのが、音楽を中心に映像や物語が一体となって織りなされるクロスコンテンツ・プロジェクト、nowiseeだ。

 謎めいたプロフィールを持つ彼らがとった戦略は明確だった。スマホ用に“アプリアルバム”として、楽曲、ミュージックビデオ映像、ノベル、コミックを配信。入り口は無料ながらも、有料のプレミアム・プランを用意することで、ハマったユーザーは、より奥深いnowiseeの世界を堪能出来るモデルが仕掛けられている。もっとも、毎月の楽曲や動画制作には予算も掛かることだろう。nowiseeは、従来の音楽業界のビジネスモデルとは異なり、日本テレビとNTTドコモの共同出資による事業組合、D.N.ドリームパートナーズパートナーとして参加。もしかしたらアニメや映画化、書籍化も視野に入れられているのかもしれない。

 プロジェクト・ローンチから1年。2016年8月10日に、満を持して初のCDアルバム作品『掌の戦争』がメジャーレーベルよりリリースされた。初回限定盤には、物語をつかさどってきた楽曲はもちろん、Blu-rayに全12曲のMV、さらに世界観を解説するnowiseeガイドブックが特典として付いてくる。

 nowisee の楽しみ方は多様だ。クオリティが異常に高い楽曲はもちろん、流麗なるアニメーションが美しいミュージックビデオ動画、独特の世界観を描き出すノベル、人気漫画アプリcomico(コミコ)で連載されているコミックという入り口の数々。音楽はすべてのカルチャーに溶け合えるという性質を活かして、J-POP制作の達人であるメンバーが、日本発→世界へ向けてJ-POPを進化させようというクロスコンテンツ・プロジェクト、それが本質だ。本名を明かさないプロジェクトであるが故、普段、メディアに登場することの無いメンバー。しかし、取材班はリサーチにリサーチを重ね、彼らがよく訪れるという喫茶店を突き止め、中心メンバーのMinimum Root(Gt)、Strange Octave(Vo)との接触に成功した。以下は、その記録である。(ふくりゅう)

「これまでと同じことをやっていてもダメだと思った」(Minimum Root)

——ようやくお会い出来ました。nowiseeプロジェクトは、スマートフォンの中にもうひとつの世界が広がっているかのようなクロスメディアなエンタメ作品ですよね。いつごろから構想が生まれたんですか?

Minimum Root(以下、Root):構想自体は3年前くらいからですね。クロスコンテンツな要素はけっこう前から考えてたんですけど、やってることはバンドなんです。メンバーはStrange OctaveとAdd Fatが先に決まっていて、ひとまず1曲やってみたところからイメージが広がっていきました。構想を面白がってくれるメンバーが集まって、こういうのはどう? ああいうのどう?って広がって、ストーリーについていろいろ話しているうちにnowisee結成へと至りました。

——虚像と現実が織り交ざったような展開は、CDが売れない時代、クリエイターとしてどうやってお客さんに面白がってもらおうかという発想が根源だったりするのでしょうか?

Root:これまでと同じ流れで同じことをやっていてもダメだとは思いました。俺が単純にリスナーだったら飽きるなって。そこで、違うアプローチの届け方、楽しみ方を提案したかったんですね。

——毎月配信リリース、そしてあらかじめ活動期間が限定されているというのは大きなポイントですよね。よくある、シングル2,3枚出してアルバムをリリースしてツアーというサイクルからの脱却という。nowiseeでやられていることは、スマートフォンを軸にアウトプットのスケジュールも考えられているのが新鮮でした。

Root:スマホに届く月刊誌みたいなものだと思ってます。自分たちが読んでいる漫画雑誌『ジャンプ』、『マガジン』などと一緒で、8が付く日に新曲が届いてることの楽しさ。それを楽しみにしてくれたら嬉しいなって。もともとnowiseeのテーマが“生きる意味を問う”なんですよ。先進国で一番自殺者が多い国、日本。みんながちょっとした楽しみに目を向けるだけで、意外と人生楽しいもんだってことを再確認できるようなエンタテインメント性をビジョンとしています。でも、2年で毎月24回リリースするのって面白いとは思ったんですけど、めちゃくちゃ大変ですね(苦笑)。

——ものすごい大変ですよね。ノベルや映像に派生するコンテンツもあったり。クリエイター・チームの制作体制の管理やスケジューリングも大変そうだと思いました。

Root:すごいことになってますよ(苦笑)。Twitterで、ファンの方が作り置きに決まってんじゃんみたいに言う人がいるんですけど、作り置きは最初の3曲で、あとはリアルタイムにアップデートしてますから。

——毎月ですもんね。nowiseeのサウンドも聴かせていただきましたがクオリティー高いですよね。マニアックにはなりすぎない絶妙なバランスで、歌詞も曲もトラックも進化したJ-POPという。歌メロの支配力の高さというか、心を一度とらえられたら離さないメロディーの強さにやられました。サビからの展開も開放感があってテンションもあげてくれて、切なく心を引き裂きながらもグワっと内面へ入ってくるんです。そもそも、nowiseeの音楽的な方向性はどのようにして決まったんですか?

Root:nowiseeの制作スタイルは、海外のヒットメーカーのやりかた(制作スタイル)と似ています。トラックメイカー、トップランナー、ディレクター、プロデューサー、エンジニアで役割分担をしています。いわゆる、基本的な座組みやテーマ、こうしたほうがいいんじゃない?という軸を見せるディレクターとプロデューサー、基盤を形にしていくトラックメイカー、メロディーを考えるトップランナーがいるんですね。今は、Turtle 7th(Pf)とAdd Fat(Gt)の2人がトラックメイキングの中心ですね。そして、Strange Octaveがトップランナーをやっています。

Strange Octave(以下、Octave):ボーカルである私が表現したい歌詞を書くことは当たり前だし、Turtle 7th(Pf)とAdd Fat(Gt)2人のセンスに後押しされて楽しくトップランナーをやっています。

Root:Turtle 7thもトラックメーカーとしてははじめてだったんですよ。もともとメロまで全部自分でつくっていた人間だから。

——海外のヒットソングは作詞作曲ともに、クレジットに参加している人数が多いですよね。日本は自作自演というシンガー・ソングライターの文化が強いからか、コライト(共同制作)の文化がまだまだ一般的ではないですけど、nowiseeは新しめの制作スタイルなのですね。

Root:nowiseeというバンドは、集まったメンバーがいなかったら今の形には絶対にならなかったと思っています。nowiseeという座組だからこそ、今の表現をやれるメンバーなんですよね。

——Rootさんとしては、今の時代だからこそできるバンドをやってみたかったという思いが強かったですか?

Root:いろいろありますね。いろんなことを逆手にとって、もっとバンドを、音楽を面白くできないかと思って考えた結果がnowiseeなんですよ。

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