BIGBANGの音楽性はどう受け継がれた? iKONが築く、K-HIPHOPの最新モード

新世代“K−HIPHOP”の注目株は?

 2012年、ラッパーサバイバルオーディション番組『SHOW ME THE MONEY』のヒットから巻き起こった韓国のヒップホップブーム。今や現地のチャート上位は、アプローチこそさまざまだがヒップホップに分類される曲がほとんどを締めている。トップクラスの人気を誇る男性グループ、例えば防弾少年団、EXO、GOT7、SEVENTEEN、WINNER、MONSTA Xにはラップ担当のメンバーがおり、ヒップホップシーンで活躍するラッパーと遜色ないスキルを持ち併せているというケースは全く珍しくない。

 ソロシーンに目を移してみても、元2PMリーダーのJay Park(パク・ジェボム)や、Jay Parkが設立したヒップホップレーベル<AOMG>所属のLoco、Block BのリーダーでもあるZICO、少女時代のテヨンら数多くの客演で知られるCrush、『SHOW ME THE MONEY』シーズン5で優勝したBewhY、同番組のプロデューサーとして出演したZion.Tなどは、新曲を発表すればたちまち話題となるスターアーティスト。彼らの多くは作詞作曲プロデュースをこなし、プロデューサーやフックアップのブレーンとしてアイドルグループシーンとも密接につながっている。また、パク・ジェボムはJay-Z率いる<Roc Nation>とマネジメント契約を交わし、Zion.Tは現地プロモーターの要望によりロンドンで単独コンサートを開催するなど、K-HIPHOPの実力は世界的に認められ、国内外でニーズが高まり続けているのだ。ポップス=大衆に広く受け入れられている音楽と解釈すれば、現在のK-POPはK-HIPHOPとほぼ同義を指しているのではないだろうか。日本でのK-POPの認識もそう変わりつつあると感じる。

 ここまでK-HIPHOPが国内外に広まったのは、BIGBANGおよびG-DRAGONの存在が大きいだろう。2006年の母国デビューからわずか1年ほどで国民的グループに登りつめたBIGBANGは、2009年に日本進出し、2012年には初のワールドツアーを12カ国21都市で開催するなど、K-POPのグローバル化を主導した。公式YouTubeチャンネルの総再生回数は38億回超え、日本で海外アーティスト史上初の5年連続ドームツアー、米経済誌フォーブスが発表した2016年版「世界で最も稼ぐ有名人100人(セレブリティー100)」ランキングに名を連ねる……といった事象でわかる通り、デビューから10年以上経った今もモンスターグループぶりは健在だが、それ以上に「FANTASTIC BABY」「BANG BANG BANG」などのヒット曲で独自のヒップホップサウンドを浸透させた功績は大きい。

 これらを作詞作曲したリーダーのG-DRAGONは、いち早い嗅覚でUSのトレンドを柔軟に取り入れつつ、リスナーを踊らせる強烈なフックを宿し、センスあふれる新しい“SWAG”の形を提示した。さらに彼は楽曲制作だけでなく、コンサートやツアーのプロデュース業、ファッションアイコンとしてのトレンドセッターまでこなすマルチな才能の持ち主。彼のクリエイティブが韓国音楽シーン全体に大きな影響を与えた。このBIGBANGのサウンドを踏襲しつつ、防弾少年団をはじめとする前述のグループたちが新しいK-HIPHOPシーンを築いていると言っていいだろう。

iKON「BLING BLING」MV

 そんな中、防弾少年団、EXO、GOT7、SEVENTEEN、WINNER、MONSTA Xら新世代アーティストの中で引けも取らず新鋭サウンドを先導しているのが、BIGBANGの弟分、iKONである。BIGBANGと同じYG ENTERTAINMENTに所属する7人組のiKONは、2016年の日本レコード大賞で最優秀新人賞を受賞(先輩BIGBANGに続く史上2度目の韓国アーティスト)し、今年は海外アーティストの本国デビューから史上最速となる1年9カ月でジャパンドームツアーを開催。さらに追加公演で全国8都市22公演23万人を動員予定とiKONのワンツアーとしては最長、最多動員の規模となっており、日本ではすでにファンダムが出来上がっている。

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