太田省一『ジャニーズとテレビ史』第三十四回:『ペコジャニ∞!』
関ジャニ∞の冠番組増加が予感させる新時代 『ペコジャニ∞!』レギュラー化に寄せて
先日、関ジャニ∞の出演する『ペコジャニ∞!』(TBS系)が今秋からレギュラー化されるとの発表があった。これまで二度特番として放送されていたこの番組は、食をテーマにしたバラエティ。芸能界の食通や関ジャニ∞メンバーがテーマに沿った一品をプレゼンし、一位のメニューに投票した人だけが食べられる、というものだ。
現在、関ジャニ∞がグループ全員で出演する冠番組、つまりグループ名が入った番組は3本ある。2007年から続く関西ローカルの『関ジャニ∞のジャニ勉』(関西テレビほか)は、ゲストを迎えてのトークをメインにした、彼らにとってのバラエティの原点とも言える番組だ。また毎回トークと生演奏を交えながらマニアックに音楽を掘り下げる音楽バラエティ『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)、そして趣向を凝らした多彩な企画にメンバーが取り組む本格バラエティ『関ジャニ∞クロニクル』(フジテレビ系)の2本は、ともに2015年5月からスタートし、好番組として高い評価を受けている。そこに『ペコジャニ∞!』が加わり、したがって秋からはグループの冠番組が4本ということになる。
この4本という数は、現在活動するジャニーズグループとしては最多だ。もちろん、それぞれのグループの活動スタイルは異なるので一概に比較はできないが、テレビの世界において、それだけいま関ジャニ∞が注目されているのは間違いない。
いまの時代、ジャニーズグループがテレビで活動していくにあたって、冠番組を持つことが大きな目標になっていることは確かだろう。自分たちのグループ名を冠した番組は、テレビのなかで存在を認められた証しでもある。
とは言え、ジャニーズの歴史を振り返ってみると、冠番組へのこだわりはずっと強かったわけではないように思える。
1960年代の元祖・ジャニーズには『ジャニーズナインショー』(日本テレビ系)(後に『ジャニーズセブンショー』としてリニューアル)という冠番組があったが、1960年代の後半から70年代にかけてテレビでも活躍したフォーリーブスにはなかった。裏を返せば、冠番組を持つことにそれほど大きな意味があるとは思われていなかったとも言えるだろう。
1980年代になっても、状況にさほど変化はなかった。1980年代前半に爆発的人気を誇ったたのきんトリオ(田原俊彦、近藤真彦、野村義男)には『たのきん全力投球!』(TBS系)があったが、1980年代後半一世を風靡した光GENJIのようにレギュラーのメインの番組はあっても冠番組というかたちをとらないグループもあった。この時点でも「まずは冠番組を」といったような流れはまだ見られなかった。
それが大きく変わるのは、1990年代である。
この面でのパイオニアはやはりSMAPだろう。1996年開始の本格バラエティ『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の大きな成功によって、後に続くグループの道筋は定まったと言える。それ以降、彼らの後にデビューしたグループにとって冠番組を持つことがひとつの明確な目標になっていった。
その背景には、テレビ自体の変化もあった。