スダンナユズユリー『CALL ME NOW』インタビュー
スダンナユズユリーが語る、目指すユニット像「かわいさとヒップホップをブレンドしたい」
武部「ラップを務める二人のバランスを維持する役目」
ーー「CALL ME NOW」は、相手の男の子に「もう待てない、電話して!」って歌っている曲なのに、だからといって相手を責めるわけでもなく、それを明るく歌っています。そこにラップが加わることで、パーティー感も出ている。「OH BOY」もそうだけど、恋を全力で楽しもうという前向きなメッセージが込められた、女の子への応援ソングに仕上がっています。この楽曲のストーリーやコンセプトは、どんなプロセスで決まっていったのですか?
須田:YURINOちゃんがたまたま、電話を耳に当てているポーズにハマっていてSNSに投稿していたんですよ。そこから「電話をテーマにした曲を作ろう」ってメンバーで盛り上がって、それを「OH BOY」でもお願いしたSKYBEATSさんに提案して、トラックを作っていただきました。電話のコール音をサンプリングしたり、MVでも黒電話の受話器を持ちながら歌っていたり、三人の遊び心が活きた曲に仕上がったかと。
ーーすごくポップなイメージですよね。一方で、ラップはよりストリート感が出てきていると感じました。音楽的に挑戦した部分を教えてください。
須田:私は今回、スタジオで録りながら色々なリリックやフロウを試しました。「何がかっこいいのか」「何がしっくりくるのか」を模索しながら作って何度も録り直しをしたので、結果的に一番初めに録ったものとは全然違ったものになりました。「OH BOY」の時よりも自分のバースが増えた分、気合いが入っています。加えて、今回は“気だるさ”や“スワッグ感”を意識して、いわゆる三連のラップに挑戦したりもしています。また、曲としての全体的なまとまりを考えてラップをすることができたのも、ひとつ成長したポイントかもしれません。
YURINO:電話というテーマを意識しながら、そのユニークさをどう伝えるかを自分なりに追求してみました。たとえば、電話で「行ったり来たり」するやりとりをリリックに落とし込んで、それをリズミカルなフロウとライミングで表現してみたり。あとは、私はもともとパフォーマーなので、踊っている感覚もラップにできているんじゃないかなと。私の場合、先になんとなくフロウのイメージがあって、そこに言葉を当てはめていく作り方をしています。それが自分のラップのスタイルにつながっていったら良いなと。
武部:私は今回、歌い方のアプローチにグラデーションを付けることに力を注ぎました。たとえば、イントロからAメロに移るところは音数が少なくなるんですけれど、そこで寂しさを感じさせてないように明るいトーンで歌ってみたり。あとは、歌詞も多くて詰まってるので、はっきり強く歌うように心がけました。実はサビの終わりの「One summer love ?」というフレーズも、すべて歌い方を変えています。1番ではスパッと終わらせて、2番では落ち着いたBメロに繋げるように余韻を残して、最後はラストのサビでフェイクを入れるので、フェイクっぽく終わらせてと、細かいところまでこだわっています。
ーー特にサビの「Waiting Waiting Waiting No!」のところで、柚那さんの声がふっと抜けていくところなどは、絶妙だと感じました。三人のバランス感もより良くなってきた印象です。
須田:そうですね、おたがいの役割が明確になったことで、実際に歌も歌いやすくなりました。
武部:私はボーカルという立場なのですが、攻めに徹するというよりも、ラップを務める二人のバランスを維持する役目なんじゃないかなと、最近はわかってきました。
YURINO:私は声が高くてファニーなので、やんちゃキャラ担当みたいな感じです。
須田:YURINOちゃんに対して、私はクール担当なのかなって思います。ラップも低音だし、リリックに英語も多いので、キャッチーな曲調ながらもストリート感を出すようにしています。良い意味で近寄りがたいオーラを出して、グループとしてのアクセントになるといいなって。
ーー普段の三人の関係性って楽曲にも反映されていたりしますか?
須田:そうですね、もともと私たちは価値観やセンスに共通点が多かったからこそ、このユニットを組んでいるので、自然と楽曲にも私たちらしさが宿っているんじゃないかと。メンバー同士で音楽の話もよくしますしね。
YURINO:するする!
武部:話すっていうよりは、楽屋とかで誰かがお気に入りの曲を流してるよね。それをみんなで「これ良いね」とか言い合ったりしてます。歌詞を作るときも、テーマを大ざっぱに決めて、それぞれが書いた歌詞を合わせるんですけど、そこで違和感を感じたことはほとんどありません。大きく直したことがない。
須田:ユズから「CALL ME NOW」の歌詞が送られてきたときも、まるで私の気持ちを代弁してくれているみたいだった。
ーーMVでは格闘ゲームやアメコミをモチーフにしていますね。撮影秘話があったら教えてください。
須田:E-girlsでもお世話になっているMV監督さんがスダンナユズユリーの世界を表現してくれました。格闘シーンを提案してくれたときも「面白い!」ってワクワクしました。振り付けも実際に撮影しながら「これはどう? じゃあこんなのは?」って自分たちで決めていったんだけど、おふざけもあって楽しみながら作ることができました。
YURINO:お腹抱えて笑いながら作りました。
須田:アメコミもポップで私たちらしいなと思いました。電話を待っているのに、でも気が強くて自分からはかけることはできない女の子の歌なんですけど、拗ねてる顔をわざと映したりして。そういう面も表現できたんじゃないかなと思います。
武部:電話かければいいのに、絶対待ってる(笑)。
須田:照れ屋なんだけど、かっこつけたい年頃の女の子なんです。