>  > 大沢×谷中「ラビリンス」を語る

MONDO GROSSO『何度でも新しく生まれる』 大沢伸一×谷中敦 特別対談

大沢伸一×谷中敦が明かす、満島ひかりとの「ラビリンス」制作秘話「このテイクが一番“歌っていない”」

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 大沢伸一のソロプロジェクトMONDO GROSSOが、14年ぶりにニューアルバム『何度でも新しく生まれる』を6月7日にリリースした。同作はMONDO GROSSOが初めて“全曲日本語詞のボーカル曲”に臨んだ意欲作。ゲストボーカルにbirdやUAをはじめ、満島ひかり、齋藤飛鳥(乃木坂46)、やくしまるえつこなど、ジャンルや世代を越えた歌手を起用し、彩り豊かな1枚となった。

 中でも満島ひかりをボーカルに迎えた「ラビリンス」は、先月公開されたMVが現在500万回再生を突破。そのほか『ミュージックステーション』への出演や、『FUJI ROCK FESTIVAL ’17』への参加など、アルバムリリースから話題を欠くことがない。 この度リアルサウンドでは、「ラビリンス」の作詞を務めた谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ(以下、スカパラ))と、大沢伸一による対談を行った。同曲が生まれたきっかけや満島ひかりとの制作模様をはじめ、音楽家として90年代の音楽シーンを牽引し、プライベートでも親交があるというふたりによる濃密な音楽話などをたっぷり語ってもらった。(編集部)

MONDO GROSSO「ラビリンス」MV

大沢「トラックができた段階で谷中さんにお願いしようと思った」

左から谷中敦、大沢伸一

ーー大沢さんには、なかなかのインタビュアー泣かせのアーティストというか、「この曲にはこういう意図があったんじゃないですか?」って訊いても、「いや、全然考えてませんでした」みたいな、つれない対応をされがちな印象があるんですけど(笑)。

大沢伸一(以下、大沢):僕、嘘をつけないんで(笑)。たまに他の人のインタビューとか読むと、これ本当かな?って思うんですよね。

ーー「とりあえずインタビュアーに話を合わせておこう」みたいな?

大沢:そう。多くの人が「その方が無難かな」って思ってやってるんじゃないかって。でも、昔からそういう対応が自分にはできないんですよ。ラジオに出ても、よく「最後にリスナーの皆さんにメッセージを一言」とか言われるじゃないですか? それも、ほとんど言ったことがない(笑)。だって、正直会ったことがない人にメッセージなんてなくないですか? 伝えたいことは自分の音楽に詰め込んでるわけだから、それ以外は、「明日、雨が降らない方がいいね」とか、そういうことくらいしか思い浮かばない(笑)。

谷中敦(以下、谷中):よし、これからは自分もそれでいこう(笑)。

ーーいや、谷中さんは大沢さんとは反対で、サービス精神のかたまりのような印象が(笑)。

谷中:インタビュアーがほしいことを先回りして言っちゃう方ですね。ミスター・リップサービスですから。

大沢:(笑)。

谷中:大沢くん的に言うと、俺は嘘つきですね(笑)。

ーー(笑)。そんなお二人が、今回MONDO GROSSOの14年ぶりのアルバムの収録曲「ラビリンス」でコラボレートをされた。さっきYouTubeを改めてチェックしたら、先行で発表されていたリリックビデオと合わせて、もう500万回以上再生されていて。今日はこの「ラビリンス」という曲が生まれた背景について、いろいろ訊いていきたいと思ってます。そもそも、お二人はかなり前から交流があったんですか?

谷中:昔からよくクラブで会ったり、イベントで会ったり。

大沢:会ったら話をするし、メールのやり取りもするしって仲です。

ーー「ラビリンス」は、アルバム『何度でも新しく生まれる』の中でも鍵になった曲というか、この曲があったからアルバムの全部の曲の歌詞、そしてアルバムのタイトルまで日本語になったという話を聞いたのですが。

大沢:そうなんです。だから、結果的にこの曲が一番最初だったというか、その前にもアルバムのためにデモをいろいろ貯めこんでいたんですけど、この曲ができたことでそれを全部捨てて、この曲からアルバムの制作が始まることになって。

ーー最初から満島ひかりさんが歌うことをイメージして、谷中さんに歌詞を依頼したんですか?

大沢:いや、トラックができた段階で歌詞は谷中さんにお願いしようと思ったんですけど、満島さんが歌うことは、その時点ではまだ正式には決まってなかったんじゃないかな。少なくとも、谷中さんには伝わってなかったはず。

谷中:そうだったね。女性が歌うってことだけで。

大沢:谷中さんは日常的にいろんな方に詩をメールで送ってくるんです。その詩が本当にいつも素敵で、いつか何かお願いしたいってずっと思っていたんですけど、このトラックができて「あ、ここにのる歌詞は日本語かも!」って思いついた時、ようやくその機会がきたなって。



ーー一度聴いたら、もう満島さんが歌ってる以外の想像が全くできない曲なので、てっきり満島さんありきの歌詞なのかと思ってました。

大沢:たまに誤解されるんですけど、僕はそういうコンセプチュアルなものの進め方をできないんですよ。いつも、わりと行き当たりばったりで。

ーー谷中さんにとって、誰から頼まれたわけでもなく好きで書いている詩と、こうしてオファーを受けてポップミュージックの中で書く歌詞というのは違うものだと思うんですけど、歌詞を書いてもいいと思える基準のようなものはあるんですか?

谷中:基準というわけじゃないですけど、やっぱり曲がいいかどうかというのは重要ですね。いい曲だと、自然に歌詞が浮かんでくるし、そうじゃないと、何回書いてもしっくりこなかったりする。そういう意味で、今回は本当にいい曲だったんですごくやりやすかったです。歌詞を書く時って、何度も何度も曲を聴くことになるじゃないですか。「ラビリンス」は繰り返し延々聴いていてもずっと気持ち良さが変わらない曲だったから、すごく楽しんで歌詞を作ることができましたね。

ーーこの歌詞、いろいろな解釈ができると思うんですけど、冒頭の〈見つめないで 哀しい方を〉の〈哀しい方を〉っていうところが、いきなり胸に刺さってきて。すごく刹那的というか、この歌の主人公は、誰かと許されない関係にあるのかなって。

谷中:いや、「許されない関係」だとか、そういうことはまったく考えてなかったです。僕が歌詞を書く時にイメージしたのは、大沢くんがDJをしていて、暗いところでお客さんがたくさん踊っている、そのフロアの風景だけで。そこで、どんな日本語が響けば美しいものになるのかっていうことで。

ーーあぁ、そうだったんだ。

谷中:クラブのフロアって、二人で踊っている人もいるし、一人で踊ってる人もいるでしょ? そして、一人で踊ってる人にも、実生活でパートナーがいる人もいるし、いない人もいる。そういういろんな人たちみんなが、踊りながらそれぞれ何かを感じられるような歌詞にしたいなって。音楽にのった恋の感情って、具体的に相手を思い浮かべて感じるものだけじゃなくて、孤独な人にも感じられるものがあると思うから。

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