今年の『AKB48選抜総選挙』結果から考える、いまアイドルを応援するということ

 さて、この2人の対立構造になって数年が経つ総選挙だが、今回、最もアイドルの定義からはみ出したのがNMB48の須藤凛々花であったのは言うまでもない。“結婚宣言”はメジャーな女性アイドルの歴史上では前例がない。その掟破りの行動にファンの間でも賛否両論が巻き起こっている。しかし、以上のような総選挙の流れを見てきて、指原莉乃に投票するようなファンの行動原則、あるいは渡辺麻友が票を減らすような空気が世の中にある限りは、須藤凛々花にはまだアイドルでい続けられる余地がある。もちろん彼女がそれを望んでいるかは別だ(と書いている間に当の本人は卒業を発表してしまったらしいが……)。どれだけ道を踏み外し、レールから外れたところで、ファンの“投票”さえあればアイドルとして認められるのが、AKB48というグループなのだ。

 いまアイドルを応援するということは、アイドルをアイドルでいさせようとする行為に他ならない。今年の総選挙を見て、そんなことを考えていた。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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Twitter(@az_ogi)

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