乃木坂46、夢アド、寺嶋由芙、BiSH、放プリ……アイドルソングの新作にみるシーンの“成熟”

 BiSの次世代グループとしてスタートしてから約2年。ライブハウスを中心にしたロックバンドのような活動、99秒のメジャーデビューシングル曲「DEADMAN」、渋さ知らズオーケストラとの対バンなど“楽器を持たないパンクバンド”を軸にしたアクションを続けているBiSHのニューシングル『プロミスザスター』は、心地良い疾走感をたたえたバンドサウンド、ピアノ、ストリングが印象的なアッパーチューンに仕上がっている。BiSHの特徴でもある刹那的な破壊力を持ったロックチューンではなく、より幅広い層にアピールできるナンバーなのだが、こういう真っ当な曲を歌うとなぜか違和感(←褒めてます)を感じてしまうところがこのグループのおもしろさだろう。メンバー一人ひとりの声の魅力を引き出す松隈ケンタのソングライティングも絶妙。

BiSH「プロミスザスター」

 “16時になると制服姿からプリンセスに変身する学園アイドル”というコンセプトを掲げた放課後プリンセスの1stアルバム。タイトルは『My Princess』。デビュー以降、古今東西のプリンセス(シンデレラ、マリーアントワネット、楊貴妃、「ローマの休日」のアン王女など)をモチーフにした楽曲を表現してきたメンバーが“僕だけのプリンセス”になるーーというのが本作のテーマだ。この設定に共感できるかどうかで本作の評価が決まるような気がするが、ときに切なく、ときに愛らしいロマンティシズムを描き出す楽曲はかなりの高水準。特にアニソン、アイドル楽曲を数多く手掛けている矢吹香那の作曲によるノスタルジックなミディアムバラード「Memories〜君と僕の交差点〜」は佳曲だと思う。

放課後プリンセス「ライチレッドの運命」Music Video short ver.

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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