倉木麻衣の楽曲が“頑張る女性“の心をつかむ理由 5年ぶり新作に見る表現の広がり

 仕事にプライベートにと奮闘している女性たちは、今こそ倉木麻衣を聴こう! と、声高に叫びたくなるーーそれが倉木の最新アルバム『Smile』を聴いた感想だ。きっと楽曲と歌詞カードと照らし合わせながら「そうだ、そうだ」と、頷けるはず。頑張る女性が、グッとつかまれるフレーズが満載なのだ。

 広く知られているとおり、倉木の楽曲は全て彼女が作詞を手がけている。1999年、17歳で1stシングル『Love, Day After Tomorrow』をリリースした倉木は、当時メディアへの露出は少なく、どこか2次元的な存在だった。だが倉木の手がける歌詞は、いつも等身大で親しみが持てた。彼女の思いは歌詞でこそ語られていたのだろう。

 そんな彼女も、今や34歳。一人の人間として、そして大人の女性として、恋愛のみならず人生を見つめた歌詞を紡ぐようになった。

 実は倉木、今作をリリースするまで約5年もの間、歌手活動だけではなく福祉やボランティア活動に注力し、国内はもちろん海外で様々な人とふれあってきたという。東日本大震災後の東北地方へのチャリティ活動、カンボジアでの寺子屋設立プロジェクトに、設立後の運営支援。理不尽で厳しい現実を見つめたからこそ、歌の力で笑顔を生み出していきたい。そんな倉木の思いが『Smile』というアルバム全体から伝わってくるようだ。

 大人になると職場や家庭、恋愛、友情……あらゆるシーンで求められる像があり、それに応えようとするあまり、本来の自分を見失いそうになる。スケールは違えど、今を生きる私たちの日常も理不尽で厳しい現実の連続である。選択に迷ったり、理想には程遠い自分に嫌気がさしたり、過去の失敗に縛られたり。倉木の歌詞は、そんな弱さにも寄りそってくれるのだ。

 それにしても倉木の楽曲は、なんて歌詞が聞き取りやすいのだろう。収録されている全12曲は、バラードやポップス、ロック、R&Bと、様々なジャンルを網羅されているのだが、どんなジャンルであっても、歌に込められた言葉が耳から飛び込んでくる。倉木の確かな実力とキャリアを感じると共に、気分に合わせてそれらの楽曲を聴き分けられるのがとてもうれしい。

 アルバムの1曲目にある「YESTERDAY LOVE」は、スカッと気分をリセットしたいときにオススメだ。<いったい「私」は「誰」で「何」なのか? 「本当の自分」探しに行きたい>と迷う気持ちを汲み取りながら<一度しかない人生 過去の自分から「あの大空」へ 飛んで行こう>と励ましてくれる。聴いているうちに、「さ、これからだ」と清々しい気分になれる。

 また、週末に向けてもうひと頑張り! という場面では5曲目の「SAWAGE☆LIFE」が応援ソングとしてピッタリ。6曲目の「I Like It」は、心も体も軽くなるような楽曲。やるべき作業にも気分よく取り組めそうだ。ここぞというときは、7曲目の「MY VICTORY」がいい。仕事でも、恋愛でも、育児でも、誰しも戦わねばならないときがあるが、そんなときに聴けば脳内にゴングが鳴り響き、テンションを上げてくれることだろう。

 もちろん、バラードも充実している。疲れてしまったときには、<辛くても こらえてた涙が 今溢れ出て止まらなくなる>と、情緒的に歌い上げる3曲目の「硝子の微笑」を聴きながら、1人の時間をゆっくりと過ごすのもいいだろう。そして、11曲目の「My way」では<あなたが歩いてきた道は 決して無駄なことはないから そう 今は自分を信じること>という優しい歌詞が、頑張りすぎた自分を優しく抱きしめてくれるようだ。

 人間的な器と共に表現力の幅を広げた印象の倉木が、1月27日に『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に登場し、久しぶりの生歌を披露する。1週間走りきった金曜の夜に、倉木の伸びやかな歌声に包まれてみてはいかがだろうか。

(文=佐藤結衣)

倉木麻衣『Smile(初回限定盤)』倉木麻衣『Smile(通常盤)』

■リリース情報
『Smile』
発売:2017年2月15日(水)
価格:初回盤(CD2枚組:全12曲+Bonus Disc1曲) ¥3,200(tax out)
通常盤(CD1枚組:全12曲) ¥3,000(tax out)

<初回盤特典>
倉木麻衣スマイルいっぱい三方背BOX入り
倉木麻衣未公開スマイルいっぱい全40ページブックレット(scene A)封入

<通常盤特典>
倉木麻衣未公開スマイルいっぱい全40ページブックレット(scene B)封入

■ライブ情報
『Mai Kuraki Live Project 2017 “SAWAGE☆LIVE”』
3月18日(土)千葉 / 成田国際文化会館 大ホール
3月20日(月•祝)福岡 / 福岡国際会議場メインホール
3月25日(土)愛知 / 愛知県芸術劇場 大ホール
3月26日(日)大阪 / 大阪国際会議場(グランキューブ大阪)メインホール
4月2日(日)東京 / 東京国際フォーラム ホールA

■関連リンク
倉木麻衣オフィシャルHP

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