Brian the Sunが“男性的表現”を意識した理由 森良太「チヤホヤされる環境が退屈で仕方なかった」

Brian the Sun 森が“男性的な表現”描いた理由

「シーンが細分化されているのをいいことに聴き方が偏ってる」

ーーだから情念めいたものが乗っかっているのかもしれませんね。冒頭に少し話してくれましたが、なぜ森さんはこのタイミングで、Brian the Sunが出すメジャー1stアルバムに「男性的な表現」を求めたんでしょう?

森:これって男性の本能だと思うんですけど、自分がアイデンティティを持てているかどうかを確認する術って、日常の中にはないような気がするんです。どちらかというと、緊急事態や有事の時にしか発揮されないものというか。だから平和な今の日本で、男性というものがアイデンティティを示すのはすごく難しくて。

ーーなるほど、そこに自分自身を重ね合わせたり?

森:そうです。僕自身もメジャーデビューをし、バイトも辞め、外側と対峙することもなくツアーや制作をして、音楽を作って行く中で周りはみんな自分のシンパというかよくしてくれる人ばっかりで。曲を書いて歌ってさえいればお客さんからもチヤホヤされる、そういう環境が退屈で仕方なかったというか。別に順風満帆な生活がしたいわけではなくて、自分の中にある鬱屈とした感情や、存在意義を確認するような面倒臭いことをいちいち打ち出したかったのに、こんなことでいいんだろうかと。まだ、バイト先で怒られながら反骨精神を持っているほうがアーティスティックな発想や「自我を確立したい」という意思があったのかもしれないと思うようになって。

ーー自分を囲む枠の外側がわからなくなっていくという感覚ですよね。

森:このままじゃダメだと思ったし、色んなしがらみを断ち切って自我を確立したいという感情が強かったんだと思います。そのうえで、何かに迎合することなく、ズルせずに勝ちたいんですよ。正々堂々と戦いたい。もしかしたら、インディーズのミュージシャンからすればタイアップが付いてることだけでもセルアウトっぽく見えるかもしれないけど、そこはそこで妥協することなく戦っていくんです。そうするうちに、時代の流れが変わって、音楽がもっとしっかり作品としてみんなに聴いてもらえるようになれば、それ以上のことはないと思っています。

ーー裏を返すと、今はどう捉えられていると思ってます?

森:今はシーンが細分化されているのをいいことに、音楽に対する聴き方が偏ってるように思えます。誤解を恐れずに言うと「暴れに行きたい人」と「聴きに行きたい人」が違うというか。もちろん、時代の変化に合わせて音楽を聴く形も変わってるし、何かをしながらではない形で音楽と向き合う人が減っていることも理解しているんですけど、本来の楽しみ方はそうじゃないわけで。

ーーだからこそ、自分たちは音楽と向き合ってもらうように働きかけていきたいと。2月11日に東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE、2月17日に大阪・Music Club JANUSで開催する『「パトスとエートス」リリース記念ライブ』は、アルバムを再現するものになるそうですが、なぜこのタイミングで再現ライブにトライしようと考えたのでしょうか。

森:演奏として、音源で出来ていることは全部ライブでもできるはずなのですが、それをライブで通してとなると、課題も見つかってくると思うんです。でも、それを乗り越えたらこのアルバムは完全に自分たちの武器になると確信しているので、頑張らないとなという気持ちです。

ーー最後に、アルバムの発売日が1月11日ということで、この作品がBrian the Sunの2017年を占う一枚にもなると思うんですが、森さんとしてはバンドを向こう1年でどのように進めたいと考えていますか?

森:僕自身、先のことを全く考えないタイプなんですけど、2017年はバンド結成から10周年イヤーでもあるので、さすがに今年は色々やろうぜと話していて。面白いイベントもやりたいですし、10周年のグッズも作りたい。一年の締めには、「10年やってきてよかったな」と思える年にしたいですね。

(取材・文=中村拓海)

■リリース情報
メジャー1stアルバム『パトスとエートス』
発売:2017年1月11日(水)
価格:DVD付初回生産限定盤 3,333円(税抜)
通常盤 2,700円(税抜)

<CD収録曲>
M-1 Impromptu
M-2 Physalia
M-3 パトスとエートス
M-4 HEROES
M-5 Cold Ash
M-6 Maybe
M-7 アイロニックスター
M-8 Cloudy #2
M-9 Mitsuhide
M-10 Hi-Lite
M-11 月の子供

<DVD収録内容>
2016年6月~7月に行われた全国18本のツアードキュメンタリーと渋谷クアトロでのLIVE映像に加え、VANS 2016 Fall and Winterイメージソングとなった「しゅがーでいず」MVを収録

【配信情報】
Brian the Sun「Maybe」
iTunes
mora
レコチョク

■ライブ情報
『「パトスとエートス」リリース記念スペシャルLIVE』
各公演¥2,000(税込)整理番号付
※ドリンク代 別途必要(東京公演¥500 大阪公演¥600)
※席種 :全自由

・東京公演
2017年2月11日(土祝)
@Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
開場 17:30 開演 18:00
問)ソーゴー東京 03-3405-9999

・大阪公演
2017年2月17日(金)
@Music Club JANUS
開場 18:30 開演 19:00
問)ソーゴー大阪 06-6344-3326

全国ツアー『Brian the Sun TOUR 2017 「パトスとエートス」』
2017年3月3日(金)仙台 enn 2nd【ワンマン】
2017年3月12日(日)名古屋 SPADE BOX【ワンマン】
2017年3月25日(土)京都 KYOTO MUSE
2017年3月26日(日)神戸 Varit.
2017年3月31日(金)高松 DIME
2017年4月1日(土)岡山 IMAGE
2017年4月4日(火)札幌 COLONY
2017年4月7日(金)横浜 BAYSIS
2017年4月11日(火)宮崎 SR BOX
2017年4月12日(水)鹿児島 SR HALL
2017年4月22日(土)金沢 vanvan V4【ワンマン】
2017年4月23日(日)富山 SOUL POWER
2017年4月30日(日)新潟 CLUB RIVERST【ワンマン】
2017年5月6日(土)梅田 CLUB QUATTRO【ワンマン】
2017年5月12日(金)広島 BACK BEAT【ワンマン】
2017年5月21日(日)福岡 BEAT STATION【ワンマン】
2017年5月27日(土)東京 LIQUIDROOM【ワンマン】

■関連リンク
Brian the SunオフィシャルHP
Brian the SunオフィシャルTwitter

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