KinKi Kidsはなぜバラードと相性がいい? “本質的な愛”を歌ってきた2人の繋がり

 1月6日に発売されたKinKi Kidsのアルバム『Ballad Selection』が、週間オリコンアルバムランキングで初登場1位に輝いた。本作はタイトル通り、KinKi Kidsがリリースした珠玉のバラードソングを集めたセレクトアルバム。デビュー20周年を記念したアルバムが、バラードセレクションというのも、実にKinKi Kidsらしい。なぜ、これほどKinKi Kidsとバラードの相性がいいのか。ジャニーズの動向に詳しいライターの佐藤結衣氏に聞いた。

「KinKi Kidsが歌っている曲の根底には、いつも“愛”があります。それはポップでハッピーなラブソングとは違った、もっと本質的な愛。誤解を恐れずに言えば、ものすごく重いんです。両想いになれたらいいな〜ではなく、たとえ結ばれずに死んだとしても永遠に愛してるっていうくらいの激重(笑)。いわゆる恋愛の“愛”だけにとどまってないのだと思います。家族愛だったり、友愛だったり……誰かと共に生きていくこと、その全てを含んだ愛。KinKi Kidsのバラードは、そんな人と人との繋がりを慈しむように歌われているので、恋愛をしているときはもちろんのこと、日々の生活の中に染み渡るんじゃないでしょうか」

 昨年7月『ザ少年倶楽部プレミアム』(NHK-BSプレミアム)にKinKi Kidsがゲスト出演した際、堂本光一が「どんなに明るい曲でも、2人で歌うとちょっと悲しくなるのよ」と発言していた。さらに堂本剛が「僕ら、やっぱ暗いのよね」と続け、「それが(KinKi Kidsの)持ち味」であるとも。

「MCをしているNEWSのみなさんとの音楽談義、とても対照的で興味深かったですね。個人的には、明るいか・暗いかという言葉を、大胆か・慎重かに置き換えるとしっくりくると思いました。KinKi Kidsは2人とも慎重派。どんな新曲をリリースするのか、コンサートで何を歌うのかも、きっちり主張をするというコメントも、番組内で見受けられました。自分たちの発信するものに対して、こだわりも責任感も強いのでしょう。作品やライブを創り上げる仲間に対して、自分たちの真意を理解してもらうために、日ごろから言葉を選び、タイミングを読み、信頼関係を築いているのだと思います。その丁寧な作り込みが、歌にも反映されているから、明るい曲も真剣なトーンに聞こえるのかもしれません。手間暇かけた料理を目の前にしたとき、しっかり味わって食べようと思うのと同様に、KinKi Kidsの歌は聴く側もしっかり堪能しようという気持ちになる。2人は何を伝えようとしているのかを真剣に受け止めようと、耳を傾けたくなるのではないでしょうか」

 かねてから、いわゆるファンサービスだけではなく、パフォーマンスで認められたいといったスタイルを貫いているKinKi Kids。その真摯な姿勢も、聴かせるバラードとマッチしているようだ。

「先ほど、信頼関係を築くのに仲間との丁寧なコミュニケーションが図られているのではとお話しましたが、それはもしかしたらKinKi Kidsの2人の仲でも同じことがなされていたのかもしれませんね。2人とも同じ慎重派ではありますが、個性は全く違うもの。共同で何かを築くためには、否が応でも相手と向き合わないといけなかったと思うんです。自分自身の意見も伝え、相手を尊重していく作業を、それこそ20年以上も続けている。それって、本当にすごい愛じゃないでしょうか。私は以前、2人のラジオ番組やライブMCでのやりとりを“夫婦漫才”のようだと見ていましたが、まさに夫婦のような関係性なのでしょう。もはや愛情表現をする必要もないけれど、お互いに代わりのきかない大事な存在。仲間、相方、そしてファンと、それぞれに深い繋がりを求めるKinKi Kidsは、まさに“愛のかたまり”だと思います」

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