The Idol Formerly Known As LADYBABY、新体制のビジョンを大いに語る「未来がないからこそ作りやすい」

LADYBABY、新体制を大いに語る

 2015年3月、コスチュームメーカー・クリアストーンのPRユニットとして結成。当時のメンバーはミスiD2015グランプリの金子理江、同じくミスiD2015の黒宮れい、女装パフォーマー・レディビアードの3名。同年7月、デビュー曲「ニッポン饅頭」のミュージックビデオがYouTubeに公開されるやいなや、瞬く間に拡散され、公開4ヵ月で1000万再生を突破。反響は海を飛び越え、その後はニューヨーク、LA、ドイツなどでライブを行うなど、人気は世界に広がって行った。

 そして今年8月、レディビアードが脱退し、金子と黒宮による2人組ユニット「The Idol Formerly Known As LADYBABY(かつてLADYBABYと呼ばれたアイドル)」として再始動すること、さらに翌月にはキングレコードからメジャーデビューすることが発表された。

 そんな要注目の2人に、結成からこれまでのこと、メジャーデビューシングル『参拝!御朱印girl☆』のこと、そして今後の目標について、話を聞いた。(岡島紳士)

「(初対面は)すごい気持ち悪かった!」(黒宮れい)

--デビューのきっかけを教えて下さい。

金子:クリアストーンの会長さんが、ビアちゃん(レディビアード)が海外の雑誌の表紙を飾ってるのを見て、閃いたらしいです。

--2人が選ばれた理由っていうのは?

黒宮:講談社が主催しているアイドルオーディション企画「ミスiD2015」の受賞者とグランプリってことで声が掛かりました。たまたま私たちが仲良くなってたところに募集があって。

--お互いの最初の印象は?

金子:初対面は、2014年9月のミスiDのお披露目会。場所はお台場のジョイポリスだったんですけど、当時はマネージャーもいなくて。ジョイポリスも初めてで、道が分かんなかったんですよね。そこでエスカレーターにいた女の子に道を聞いたんです。そうしたらすごい睨んで来て。それがれいでした。

黒宮:れい、めっちゃ印象悪いじゃん!

金子:怪しい目で見られて(笑)。私は小さい頃から、道に迷ったらとりあえず声のトーンを上げて他人に声を掛けとけばいいって思ってたんですよ。それであざとい感じで「あの~?」って言ったら、気持ち悪かったのかもしれないけど、すごい睨まれて。

黒宮:すごい気持ち悪かったです!

金子:(笑)。結局道が分からなかったから「一緒に行っていいですか?」って言って。歩きながら「ミスiDで友達できないよね?」みたいな話をしてたら意気投合して。

黒宮:りえがミスiDの最終選考に8時間遅刻した話とかして。「そんなの全然よくあることだよー」って言いつつ、内心は「全然ないよ!」って思ってたし(笑)。

金子:優しい子だなって思ってたんですよ。でも仲良くなって1時間後くらいに、「8時間遅刻はヤバイよ!」って改めて言われて。

--遅刻した理由ってなんだったんでしょう?

金子:当時はお父さんの介護と、3つバイトを掛け持ちしてて。 前日にミスid関連のMVの撮影のお仕事が入ったんですよ。お昼に終わるって聞いてたけど、朝から夜まで続いて。家に帰ったら爆睡しちゃって。結局寝坊だから、私が悪いし、言い訳なんですけど。

--寝起きは良くないんですか?

金子:れいと一緒に泊まったりすると、じっとりえのことを見てくるんですよ。だかられいと寝てるときは寝坊できない。

黒宮:ホテルでベッドが2個用意されてても、絶対私たち1つのベッドに2人で入って寝るんです。足を絡めて。それで至近距離からじっと見てる。

金子:怖い!(笑)

--じゃあ一緒に泊まるときは寝坊はないですね。一緒に寝ないときは?

黒宮:たまにしちゃうよね。

金子:でも8時間はもうないです。

「(れいは)優しさを上手く伝えられない子」(金子理江)

--初対面から今まで活動してきて、お互いの関係性は変わっていきましたか?

黒宮:徐々に心を開けるようになったよね。

金子:私、人見知りする人の方が好きなんですよ。

--金子さんから見て、黒宮さんはどういう印象なんですか?

金子:優しさを上手く伝えられない子。毒で優しさを包み込むような感じ。すごい不器用で、根本は優しいのに、それを素直に表現できないんですよ。勘違いされやすいかもしれない。でも、それは私にとっては長所で。他にはいない子だなって思うし。

黒宮:そんな子?うち。

金子:わかんないけど、りえはそういう風に見えてる。女の子っていろんな面があるじゃないですか。

黒宮:3カ月に1回は変わる。

金子:凄い繊細。笑って誤魔化してても傷ついてる。純粋すぎる。

--逆に黒宮さんは金子さんをどう見てるんですか?

黒宮:人当たりはめっちゃいいんですよ。誰とでも喋れるし、平等に扱える。だから「この子は何言ってもいいんだ」って思われちゃうんです。でもほんとはれいよりネガティブで。仕事してる時は大人の対応ができるのに、帰ってから落ち込む。周りの1人か2人にしか、本心を言わない。れいりえって「世界を覆す」とか大きなことをよく言うけど、後で「あんなこと言って大丈夫かな」とか、不安になる。何でも「やっちゃえばいいっしょ!」なんて思ってないんです。実は大人の目をすごいうかがってる。

--一見してメンタルが強い2人に見えるけど、逆なんですね。で、結成して数カ月でYouTubeで公開した「ニッポン饅頭」のMVがバズりましたよね。率直に、そのときの感想は?

金子:とにかくいきなり「レコーディングします」「MV作ります」「ライブします」「海外で人気が出ました、初海外ライブやりましょう」ってトントン拍子に進んで。芸能界に入ってすぐにLADYBABYになったから、わけがわからなくて。「それどころじゃねえんだよ!」って感じ。でも嬉しい気持ちはありました、こんなに見てくれてるんだなって。

金子:下積みもほとんどないし、お互い探り探りで自分たちが持ってるもので勝負しなくちゃいけなくて。2、3日練習したくらいで初ライブです、みたいな。レコーディング2日前に曲が届くなんて当たり前だった。

LADYBABY "ニッポン饅頭 / Nippon manju "Music Clip

「16歳に気を遣ってる大人なんて見たくない」(黒宮れい)

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黒宮れい

--アイドルに抵抗はなかった?

金子:私はそもそもアイドルをやるって聞かされてなかったんですよ。でも1カ月間で急激にいろんなことが決まったから、考える暇もなかった。

黒宮:れいりえは、アイドルになりたいなんて1ミリも思ったことがない。ファンに媚びるような仕草や対応も出来ないし。

金子:思ったことをそのまま言うから。盛り上がってないお客さんを見たら、観たくないんだったらいいやってなるし。でも、素直に感謝することもある。

黒宮:ビックマウスなんですよ、私たち。口だけ達者。

--バズっている実感はどこかでわきました?

黒宮:「ニッポン饅頭」がネットのバズワードになってたり。同級生から「お前何してんの?」って急にスクショが送られて来たり。最初は周りに言えなかったんですよ。

--黒宮さんはLADYBABY以前からBRATSというバンドで音楽活動をして来ました。そういう意味でLADYBABYで急に人気が出たことをどう捉えていますか?

黒宮:嬉しい。BRATSはすごくちっちゃいハコでライブをやったこともあるし、2つ世界があるっていうか。1つは恵まれた環境。もう1つは自分たちが頑張らないと何も動かない、みたいな。切り替えが難しいです。難しいし、LADYBABYのファンの人にはバンドは辞めなよって言われたりする。

金子:えー、それ傷つかない?

黒宮:大丈夫。「お前とバンドやってるわけじゃないんだし、お前に決定権ないよ」って思うから。ちゃんと割り切ってやってるつもり。気を遣って「BRATSのライブも行くよ」なんて言ってもらわなくていいし。16歳の子に気を遣ってる大人なんて見たくないじゃないですか。

--若いのに人にいろいろ言われて大変ですね。

黒宮:メンタルは弱いです。でも頑張りますね!

「(ネットの書き込みは)全部読みます。2ちゃんも全部」(黒宮れい)

--海外のファンの方からの反応はどうですか?

黒宮:ベビメタみたいだねとは言われた事はあります。

金子:3人だったからね。名前も似てるし。

黒宮:でも、歌詞やコンセプトは全然違いますし。私たちは饅頭とかコンビニとか、日本のカルチャーについて歌ってるので。あちらは海外で成功されて知名度もあるので、日本のアイドルというと比較対象に上がるだけだと思いますよ。

金子:ライブには、海外から来てくれるファンの方もいるんですね。日本人のファンと違って、距離が近いです。

黒宮:ハグとかもあるしね。でも、どちらかというと私たち自身がもともと日本に適してないので、全然OKです。ただそのノリを海外の人が日本に来てやっちゃうと、他のファンの人が嫉妬しちゃうっていう。

--ネットの反応は気にしますか?

黒宮:全部読みます。2ちゃんねるも全部。三流アイドルって言われたり、嘘のセトリが書かれてたり。「お前絶対ライブ来てないだろ!」っていう。でも、その怒りを原動力に変えてます。ライブのMCでも触れちゃうし。

金子 私もネタにしちゃう。昔、貧乏生活してたんですけど、「金子理江は昔、貧乏とか言ってるクセに体は裕福だな」とか。ネタとして使っちゃいますね。

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