渡辺志保の新譜キュレーション 第3回
ドレイク、“10億回再生”達成後の動きは? 渡辺志保が最新曲&MVを一挙解説!
そして、先日10月24日に30回目のバースデーを迎えたドレイク。バースデーパーティーにはケイティー・ペリーやテイラー・スウィフトが来たり、ドレイクが心酔しているシャーデーが彼のために特別なプレゼントを用意したりと盛大に祝われた様子。加えて、12月には『More Life』と題された新たなプロジェクトを発表するとApple Music内の『OVO Sound Radio』でアナウンスしました。
ドレイクによると、この『More Life』はアルバムでもミックステープでもなく、“プレイリスト”なんだとか。ドレイクといえば、あのApple Musicが彼を全面的にサポートしていることは周知の通り。『More Life』はストリーミング・サービスを軸とした、新たなプロジェクトとして発表されることになりそうです。そして、同時にどどん!と4つの新曲も披露。早速紹介していきましょう!
まず1曲目は「Two Birds One Stone」。
“一石二鳥”という意味の曲ですが、フックもなく、ひたすらドレイクがラップでカマす仕上がりに。また、同曲は発表されてすぐ、ある理由でネット上で話題になりました。というのも、キッド・カディ、そしてプッシャ・Tという二人の人気ラッパーをディスっているのでは?と疑惑が持ち上がったのです。例えば、このライン。
「You were the man on the moon / Now you just go through your phases(お前は月に立ってた男だったのに、今じゃそのフェーズを通り越しちまった)」
最初の「月の上」に言及する部分は、キッド・カディのデビュー・アルバム『Man on the Moon: The End of Day』に合致しますし、その次に登場する「phases」という単語は、物事の局面を表す「フェーズ」のほか、月にまつわる「月相」という意味もあり、このことからもキッド・カディへの攻撃なのではないかと噂されているのです。事実、カディは現在、鬱の病にかかってしまい、病院でリハビリ中。そして、ツイッター上でカニエ・ウエストやドレイクに対して攻撃していたことも相まって「これがドレイクからの反撃か?」と話題になりました。
そして、同曲では「数回ヤクの取引をしただけでドラッグ・ディーラーのつもりかよ、チャポを気取ってるんだろ?」(チャポとは、脱走劇でも話題になったメキシコの麻薬王、エル・チャポのことを指します)と、ドラッグ・ディーラーである過去を自身のアイデンティティとしてラップしているプッシャ・T(プッシャーとはまさに、ヤクを売りさばく売人を指すスラング)へのディスと見受けられる箇所も。プッシャ・T自身も、これまでにはっきり言及はせずとも、ドレイクに向けたディスか?と思われるラインが散見されることでも知られていました。ラップにディスは付き物ですが、今後のドレイク、どのように身を振るのでしょうか。
お次は、先ほどのハード・モードとはうってかわり、ミッド・テンポのトラックに乗せてメロディアスにラップするドレイクを。
ただ、「Fake Love」というタイトルが示す通り、内容は「あいつらが笑いかけてくれる時、それは俺の居場所を横取りしたい時なんだ。あいつらの愛情は全部フェイクだぜ」という辛辣なモノ。ドレイクのラップのテーマの一つに「ダチ一生」という信条があります。「俺は、成功する前から苦楽を共にしてきた本当の友達、地元の仲間しか信じないぜ……」というもので、デビュー初期から常に発信し続けているメッセージの一つでもあります。
しかも、こうしたメロディアスなフロウはドレイクの真骨頂。今回ドロップされた新曲群の中でも、早速「一番ポップなドレイク・チューン」として話題になっていました。テーマとメロディも相まって、今回発表されたトラックの中では、この曲が一番ドレイクらしい楽曲かもしれません。