星野源が新曲「恋」で打ち出した“新たな恋愛観” 10月5日発売の注目新譜5選

KANA-BOON『Wake up』(SG)

ダイナミックなロックサウンドを追求したアルバム『Origin』のリリース、約5万人を動員し、キャリア史上最大級の規模となった全国ツアー(『Origin』の音像をライブで体現するため、メンバーはかなり試行錯誤を強いられたという)を経て、ロックバンドとしてのスケールを確実に上げてきたKANA-BOONのシングル曲「Wake up」は、飯田祐馬(Ba)、小泉貴裕(Dr)による骨太のリズムセクションと古賀隼斗(G)の華やかなギターフレーズを軸にしたアッパーチューン。“停滞した状態から脱したい”という意志を反映させた谷口鮪(V&G)の歌からも、新しい表現を欲している彼らの現在のモードが強く感じられる。C/Wには谷口が最近、興味を持ち始めたというラップの要素を取り入れた「LOSER」を収録。高速の4つ打ちビートを軸にした楽曲でバンドシーンを席巻したKANA-BOONはアルバム『Origin』とシングル『Wake up』によって、まったく新しいフェーズへと突入しつつあるようだ。

KANA-BOON「Wake up」

忘れらんねえよ『俺よ届け』(ミニAL)

 感情剥き出しのライブパフォーマンス、他のバンドへの嫉妬を隠さないぶっちゃけたキャラクターがどうしても目立ってしまう忘れらんねえよだが、じつは1stシングル『CからはじまるABC』(2011年)のときから一貫しているのは優れたメロディセンスを軸にした楽曲自体の良さであり、本作『俺よ届け』(ミニアルバム)のタイトル曲「俺よ届け」で彼らはようやく“曲の魅力をしっかり届けよう”という意思を前面に押し出してきたように思う。特筆すべきは柴田隆浩(V&G)のボーカリゼーションの変化。エモーショナル過多の歌いっぷりを抑え、メロディラインを正確に描き出すことによって、このバンドの本来の曲の良さを際立たせているのだ。その結果、忘れらんねえよのもうひとつの特徴である“こじらせまくった恋愛感情をそのまま描いた歌詞”が以前より増して真っ直ぐに伝わってくるという効果も。「眠れない夜は君の名をググるよ」というキャッチー過ぎるタイトルを持つロックバラードも素晴らしい。

忘れらんねえよ「俺よ届け」

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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