佐藤千亜妃、“表現者”としての軌跡ーー音楽人生を辿ったソロカバーライブを観た

佐藤千亜妃、“表現者”としての軌跡

 筆者は以前からきのこ帝国に対して、いわゆるロックバンドという文脈だけでは語ることのできない不思議な魅力を感じていた。そう感じていたのは、作品ごとに変化するさまざまな音楽性に依るものだとばかり思っていたが、彼らの音楽の根底に走る上質な“日本語のポップス”としての魅力に引き寄せられていたからだ、ということに今回改めて気付かされることとなった。

 きのこ帝国の楽曲は、全て佐藤がソングライティングを手がけている。今回歌われた楽曲に共通するのは、情景や心情の浮かぶ日本語詞が多くの人々の心を打つ、時代を越えた名曲たちであるということ。これらが佐藤の音楽的センスの礎となっていることを肌で感じたことで、彼女が生み出す楽曲に強く惹かれる理由が鮮明になったように思う。

 そして、それらの楽曲を巧みに歌いこなすボーカリスト・佐藤千亜妃という表現者の才能に、また強く惹かれる自分がいたのだった。

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(文=久蔵千恵)

■セットリスト
『VOICE』
2016年9月20日(火)HAKUJU HALL

1.片想い/柴田淳
2.even if…/平井堅
3.Boyfriend/Crystal Kay
4.流星群/鬼束ちひろ
5.えりあし/aiko
6.雲がちぎれる時/UA
7.いかれたbaby/フィッシュマンズ
8.なごり雪/イルカ
9.First Love/宇多田ヒカル
10.ぼくたちの失敗/森田童子
11.くちなしの丘/原田知世
12.痛いよ/清竜人
13.ひこうき雲/荒井由実
14.キスをする(新曲)

En1.サヨナラCOLOR/SUPER BUTTER DOG
En2.夜が明けたら/きのこ帝国

きのこ帝国オフィシャルサイト

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