MACOが語る新作の“広がり”と“挑戦”「出せる感情が増えて、恥ずかしくないと思えるようになった」

MACOが語る、新作の広がりと挑戦

「生々しい自分をさらけ出すことができたらと思っていた」

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――この「手紙」もそうですし、これまでMACOさんが作曲クレジットに携わっている楽曲ってどこか懐かしい感じというか、90年代のJ-POP的な質感がありましたよね。でも、「under the rose」はアーバンなバンドサウンドで、初めて聴いたときは驚きました。

MACO:「under the rose」は“秘密”をテーマに歌詞を作ったのですが、音までドロドロしたものになっていたらすごくいやらしいかなと思って、オシャレなバンドサウンドで歌いたいと思い、ある程度のところまで決めて、プロデューサーさんにお願いしました。

――アルバム全体を見てもバンドサウンドがどんどん多くなっているなと感じます。このあたりはやはり自分で意識したんですか?

MACO:かなり意識しました。バンドでライブや『FIRST KISS』のツアーをどんどん重ねるうちに、生のバンドが好きなんだと改めて自覚したんです。兄もベースをやっていましたし、パパもギターを弾いていましたし、ギターやベース、ドラムの音が大好きなのは、そういう環境で育ったからなのかもしれません。ファンのみんなもライブを見て、MACOの曲をバンドで聴く良さを感じてもらっていたはずだから、作品に収録しても喜んでくれるだろうと思った部分もありますね。

――MACOさんの声はバンドと相性がいいというか、バンドに全く負けないから、聴いててより気持ち良く感じます。

MACO:ありがとうございます。だからアルバムのツアーでまたこれらの楽曲をバンドセットで披露できると思うとワクワクします。

――ライブの話になったので、ここで一つ訊いておきたいんですが、今年はとくにフェスやイベントなどに出ることが多かったですよね。爪痕を残せたという手ごたえはありますか?

MACO:そうですね。フェスに関しては、MACOのことを名前だけしか知らないというお客さんが多いので、良い意味で空気の違うところに放り出される感覚があるんですよ。最初は驚いた顔で見られるんですけど、トークでみんなが笑顔になってくれたり、曲に込めた思いを話してから歌うと、みんなの目が少しだけ変わったように見えるんです。今年のフェスでは毎回ちゃんと伝わっていることを感じれて嬉しかったです。

――大先輩であるDREAMS COME TRUEのライブ『私だけのドリカム THE LIVE in 万博公園』にも出演しましたよね。ここも試練の場だったのでは?

MACO:試練の場でしたね(笑)。あんな場所で歌えると思っていなかったですし、歌う曲がまさかの「未来予想図II」だという。めちゃくちゃ緊張して、汗が止まらなかったんですけど、中村正人さんが袖で見ていてくださって、終わってから「自分のものにしてくれていたから、見ていてすごく気持ち良かった」と暖かい言葉をかけてくれたんです。その後はドリカムさんのライブを見させていただいて、最初から最後まで号泣で。そのとき丁度アルバム制作期間で感受性も高かったので、号泣しながらもアルバムのことがずーっと頭の中にあったんです。吉田美和さんの歌詞って、ほとんどがラブソングで、しかも生活感もあって生々しさがあるんですよね。自分の書く歌詞にも重なるところがあって、理想的だなと思える部分も多かったです。『love letter』の配信版には「未来予想図II」のカバーも収録させていただけて、本当に光栄です。

――吉田美和さんの歌詞と自身の歌詞に共通する部分があるということですが、確かに細かいアイテムの使い方などにその片鱗を感じますね。歌詞の中にさりげなく出てくるアイテムが、その曲を引き立たせるキーになっているというか。

MACO:そこは今回のアルバム曲の歌詞でも意識した部分ですね。前は恥ずかしいと思って出さなかったり、あえて普遍的な表現にすることもあったのですが、今回は生々しい自分をさらけ出すことができたらと思っていたので、遠慮なく書かせてもらいました。

――確かに、『恋心』あたりから増えてきたイメージがあります。

MACO:まさにそのあたりからですね。でも、細かい表現まで入れようとすると、言いたいことがたくさんありすぎて曲が3番まで必要になっちゃうくらいの量になるので、そこから削るのは大変です(笑)。その分アルバム制作はいつもより時間が掛かりました。

――ちなみにアルバム曲のなかで一番最初に形になったのはどの曲ですか?

MACO:最初に形になったのは「あなたの彼女」ですね。以前にMUSOHさんに作っていただいてからずっと温め続けていた曲なんです。

――『恋心』のインタビュー時に話してくれていましたよね。

MACO:そうだ! なので今年の初めごろに作った曲ということになりますね。これは最初から片思いの曲だったんですが、どんどん表現は生々しいものに変わってきました。最終的には彼女がいる人を好きになってしまって、「あなたの彼女になりたかった……」と病んじゃう歌になって(笑)。

――アルバムの中でも特に生々しい曲になっていると思います。

MACO:さっき「一番最初に形になった」と言ったんですけど、歌はかなり長い期間をかけてレコーディングしたんです。曲と歌詞が持つ生々しさを歌でも出さなきゃと思って、何度も録りなおしました。エンジニアさんにOKと言われても、持ち帰って聴いたら納得できないこともあったりして。とくにブリッジ部分の感情の入れ加減には苦戦しました。

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