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椎名林檎、“2020年”に向け始まった新たな物語ーー新曲2曲に隠されたメッセージを考察

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 一方、「ジユーダム」はNHK総合テレビ『ガッテン!』のテーマ曲として書き下ろした楽曲。椎名は同曲に関して、同番組の愛好家であると前置きし、「この仕事を誰かにお譲りするのだけはどうしても厭でした。自分ほどガッテンしている作曲家はいないという自負が駆り立てます」と、楽曲発表時にコメントしている。

 「ジユーダム」は管弦打編曲として斎藤ネコが携わっており、鍵盤が軽やかに弾み、明るく開放的なサウンドがのびのびと鳴っている。今年の4月に『ためしてガッテン』からリニューアルして放送がスタートした『ガッテン!』は、NHKの人気番組だ。その主題歌となれば、文字どおりの老若男女すべての人の耳に届くことになる。<太く長く行こう人生まあ生きていりゃ いろいろあるけれど幸せにならなきゃ>という一節が象徴するように、椎名はその不特定多数のリスナーに向け、より直接的で明快なメッセージを語りかけている。かつて、同じくNHK『みんなのうた』に「りんごのうた」「二人ぼっち時間」が起用されたが、その番組の内容や特性、視聴者のことまで踏まえた上で、オリジナルな文体や節回しを交えながらも、ポップソングとしての精度が追求した椎名。「ジユーダム」はその職人的な気質の真骨頂として楽しむことができる。

 なお、「ジユーダム」は東京事変の5人、つまり、椎名林檎、刄田綴色、亀田誠治、浮雲、伊澤一葉でレコーディングを行っており、ジャケットにも東京事変のシンボルマークが描かれている。さらに、同日からの東京事変の全楽曲のサブスクリプション型(定額制)配信サービスもスタートした。東京事変が解散したのは2012年の閏日2月29日、4年後の(つまり閏年でもある)今年、解散後はじめて5人が揃って楽曲を制作……となると、”閏年復活”としてさらに4年後の2020年にまた何か大きな動きがあるのではないかと、期待が高まるばかりだ。

 このように、この2曲について考察すると、至るところに2020年への伏線が潜んでいることに気付く。推測の域を出ないのがもどかしいところだが、様々なところに巧妙に仕掛けを隠しているところも、とても椎名林檎らしい。

 2020年に、椎名はどのようにオリンピックに関わるのか。その詳細は、この原稿の執筆時にはまだ発表されていない。しかし今の椎名林檎は、その巨大な才能も表現者としての情熱も、すべてを音楽へと注ぎ、エンターテインメントに自身を捧げている。そしてこれまでも、ポップミュージックの第一線に立ち続け、プロデューサーとしての手腕、ライブにおけるショーとしての完成度を磨いてきた。だからこそ、そんな彼女が指揮を執り、様々なクリエイターとともにチームを築いてトライアルしたパフォーマンスを想像すると、とてもワクワクさせられる。今はその未だかつてない音楽体験に期待しながら、続報を待ちたいと思う。

(文=若田悠希)

      

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