Little Glee Monster、ブラスセクション追加の野音公演で生まれた新しい「調和」

リトグリ、野音公演で生まれた新しい「調和」

 Little Glee Monsterが初の野外ワンマンライブ『Little Glee Monster presents ガオフェス2016 〜リトグリサマーキャンプ〜』を東京&大阪で開催。その初日公演が9月3日、東京・日比谷野外音楽堂で行われた。

 8月17日にリリースされた最新シングル『私らしく生きてみたい / 君のようになりたい』がオリコンデイリーランキング3位、週間ランキング6位、そしてiTunes・J-POPトップアルバムチャート1位という好成績を記録したリトグリ。この夏には『THE MUSIC DAY』(日本テレビ系)、『音楽の日』(TBS系)、『FNSうたの夏まつり』(フジテレビ系)といった夏の3大音楽特番すべてに出演したほか、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)では「君のようになりたい」を披露して大反響を呼んだ。さらに『SUMMER SONIC 2016』大阪公演ではメインステージにてオープニングを飾ったほか、『私だけのドリカム THE LIVE in 万博公園』『NUMBER SHOT 2016』『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016』『a-nation stadium fes.2016』などの大型野外フェスにも多数出演し、その存在感を存分にアピールした。

 そんな好状況のもと決行された今回の野外ライブ2公演は、当然のようにソールドアウトを記録。さらに同タイミングからスタートする全国ツアー『リトグリライブツアー2016 〜Little Colorful Monster〜』もほぼソールドアウトと、多くの音楽ファンが彼女たちの“生の魅力”を求めてライブ会場に殺到していることが伺える。

 さて、その日比谷野音でのライブについてあれこれ感想を書いてみようと思うのだが……現時点で大阪城野外音楽堂公演、および『リトグリライブツアー2016 〜Little Colorful Monster〜』のネタバレを含むことから詳細については触れずにおく。その代わり、ここでは今回のライブでの注目点や成長ポイントなどを挙げていけたらと思う。

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 この日の野音公演、実は直前まで夕方からは雨の予報だったのだが、公演開始直前にパラパラと小雨が降った程度。これなら雨具などいらないという状況下で予定通りライブはスタートした。ステージにはこれまでのワンマンライブ同様、4人編成(ドラム、ベース、ギター、キーボード)の生バンドに加え、今回はサックス、トランペット、トロンボーンのブラスセクションという合計7人のバンドメンバーがリトグリをサポート。これにより、今まで以上に音の厚み、温かみが増し、彼女たちの魅力であるコーラスワークを華麗に彩ることとなった。そもそもリトグリサウンドのルーツにあるR&Bやソウルなどのブラックミュージックの世界では、ステージにブラスセクションがいるのは当たり前のこと。それに加え、年明けに決まった日本武道館公演を目前に、ライブのスケール感をより大きなものにしようとするスタッフの思惑も感じられ、この英断は結果として大成功だったのではないかと言える。

 セットリストに関しても詳細は控えるが、最新ナンバーの「私らしく生きてみたい」や「君のようになりたい」はもちろんのこと、初期からの原点的ナンバーやヒットシングルの数々のほか、ワンマンライブならではの“お遊び”も健在。今年初めにリリースされた1stアルバム『Colorful Monster』以降は音楽性の幅が広がったこともあり、よりバラエティに富んだ選曲で観るものを楽しませてくれた。中でもここ2枚のシングル収録曲のライブでの映えっぷりが想像以上のもので、ちょっとした歌い方やコーラスの重ね方、ハモるタイミングなどが過去の楽曲より難易度が高くなっていることも目で、耳で改めて確認することができたのは大きな収穫だ。

 それともうひとつ、初期の楽曲を聴いていて思ったことだが、彼女たちの歌声が以前よりも太く、ふくよかになったように感じられた。メジャーデビューから間もなく2年経つし、気づけばメンバー全員が高校生という事実ももちろんだが、特にこの夏は(ライブ中に彼女たちも言っていたが)連日のようにライブやイベントを実施したことで、喉が鍛えられたことが大きく反映されているのではないか。それはライブ中にちょっとしたフレーズから感じられるメンバー間の息の合ったハモりも一緒で、声と声が調和することで生まれる心地よい波長、お互いが歩み寄ろうとする姿勢が生み出す声の温かみからは、長きにわたりともに活動してきた者同士のそれと同等の貫禄、説得力すら感じられた。特に今年の夏は例年以上に暑かった印象が強いだけに、そんな季節を乗り切った彼女たちだからこそなし得る「調和」なのではないだろうか。あのライブを振り返った今はそう感じている。

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