Little Glee Monster、ブラスセクション追加の野音公演で生まれた新しい「調和」

リトグリ、野音公演で生まれた新しい「調和」

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 とはいえ、そういった過酷なロードがすべてプラスに作用したかというと、実際にはそうではない点も見受けられた。それはライブ終盤、一部メンバーの声から疲れが感じられたこと。野外で長時間のライブという要素も大きく影響しているのかもしれないが、声が掠れて全力を出し切れなかったように筆者には見えた瞬間もあった。だからといって、ライブ終盤の彼女たちのパフォーマンスが悪かったのかと問われれば、それは違うと言いたい。相対的に見れば、ここでの彼女たちも水準以上のパフォーマンスを見せてくれたし、そういった些細な違いに気づかなかった人もいたかもしれない。苦言のように聞こえてしまうかもしれないが、すでに歌唱力やテクニックは存分に備わっているリトグリなのだから、より体力や持久力を付けること、喉を強くすること、あるいは喉のセーブの仕方を身に付けることは今後のさらなる成長、飛躍につながるのではないだろうか。そう思って、あえて書かせてもらうことにした。

 ちょっとネガティブな話題になってしまったので、改めて前向きな話題に移ろう。実は開演前の小雨以外にも、公演中盤にも若干雨が降った瞬間があった。ちょうど彼女たちがMCをしている最中だったのだが、MAYUが思わず「違う! これはみんなの嬉し涙!」と言って観客を笑わせる。また日比谷野音という、都会のど真ん中に存在する公園内の会場という条件が功を奏し、バラードを歌っている最中、演奏中には気づかなかった虫の音にブレイクポイントで気づかされるという想定外の演出もあった。さらに、ある曲では曲名にちなんだ、ファンには嬉しいサービスも。このほかにも野音という会場の特徴を活かしたアンコールでの演出(これは会場にいた人なら、どの曲のことを言っているのかおわかりいただけるだろう)もあり、これこそ常に歌で勝負してきた彼女たちだからこそなし得たものだと強く実感した。

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 そしてアンコールでは、来年の武道館公演以降のスケジュールとして、2月から新規の全国ホールツアーを開催することが麻珠からアナウンス。その東京公演として、4月9日に東京国際フォーラム ホールAにてライブを行うことも発表された。manakaは「私たちの最初の夢であった武道館も、ファンの皆さんは自分のことのように喜んでくれた。ファンの皆さんがずっと楽しいなって思ってもらえるように、これからも私たちはもっともっと歌を磨き続けて、頑張っていきます!」と、先に発表した「DREAM20」プロジェクト同様に、武道館後も彼女たちの夢は続いていくことを宣言。最後は6人それぞれが「楽しかった!」「また会おう!」と口にしながら、笑顔でステージを降りていった。

 現時点で14公演が発表されているこの全国ホールツアーのスケジュールには「and more…」と添えられていることから、ツアー日程はさらに追加されるものと思われる。ひとつめの大きな“夢”である武道館単独ライブでひと区切りをつけ、続く2月からの全国ツアーでリトグリが何を提示してくれるのか。そして今回の野音ライブで新たに見えた魅力をどう伸ばし、課題点をどう解消していくのか。まだまだ成長過程の彼女たちから、この先も目が離せそうにない。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

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