森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.12
EXILE、海外クリエイターとタッグ組んだ五輪中継テーマ曲もーー8月17日発売の注目新譜5選
Little Glee Monster『私らしく生きてみたい/君のようになりたい』(SG)
今年1月にリリースされた1stアルバム『Colorful Monster』がチャート2位を獲得。数多くの音楽番組にも出演(特にTBS『音楽の日』のパフォーマンスは話題を集めた)、CMにも起用される一方、ショッピングモールなどでの地道なライブ活動も行い、実力派ボーカルグループとしても徐々に認知され始めた“リトグリ”の両A面シングル。「私らしく生きてみたい」は、いしわたり淳治(作詞)、亀田誠治(作詞・作編曲)のヒットメイカー・コンビによるポップナンバー。ここ数年の世界的トレンドであるネオ・ソウルの流れを汲んだオーガニックなサウンド、“なりたい自分になって 自由になって”というメッセージを掲げた歌詞をナチュラルに表現したこの曲は、現在16〜18歳の彼女たちの等身大の魅力を上手く引き出している。「君のようになりたい」はディズニーの往年の名曲「I Wanna Be Like You」の日本語詞カバー(訳詞はいしわたり)。ジャズ、ソウルミュージックのテイストを取り入れたアレンジ、奔放なフェイク、張りのあるコーラスワークは幅広い年齢のリスナーに受け入れられそうだ。
ハルカトミユキ『LOVELESS/ARTLESS』(AL)
1stアルバム『シアノタイプ』(2013年11月)以来、約2年9か月ぶりとなる2ndフルアルバム。昨年、2枚のミニアルバム『世界』『LIFE』をリリースした2人はこのアルバムのために新曲9曲を書下ろしたという。その原動力は作曲家としてのミユキの才能が開花したこと。これまではほとんどの作詞作曲をハルカが手がけていたのだが、本作では10曲中5曲の作曲をミユキが担当しているのだ。高速のロックチューン「DRAG&HUG」、ドラマティックなメロディがハルカの歌の魅力を引き出す「奇跡を祈ることはもうしない」、80sテイストのエレクトロナンバー「トーキョー・ユートピア」などのミユキの作曲による楽曲は、ハルカトミユキの音楽性の拡大につながっている。その結果、ハルカが紡ぎ出す歌詞の世界が大きく広がっていることも本作の魅力だろう。そう、このアルバムの制作を通してハルカトミユキは初めてソングライター・チームとしての機能を確立したのだと思う。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。