森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.5
GENERATIONS、新山詩織、井上苑子、ブルエン、Swimy……6月29日発売新譜の注目作は?
BLUE ENCOUNT『だいじょうぶ』(SG)
ライブを観ていると時折「君の思いはよくわかった! だからもう次の曲をやってくれ!」と言いたくなるほど(←ディスってないよ)熱い気持ちをブチまけまくる田邊駿一(V&G)だが、あのエモーショナル過剰なMCがそのまま楽曲として結晶化したようなシングルである。もっとも濃密なのはやはり「だいじょうぶ」。<すべてに誓って言える/あなたは大丈夫>なんて歌詞、ふだんだったら「何の根拠があって言ってるんだよ!」と鼻白んでしまうだろうが、ライブやインタビューを通して田邊のキャラクターを知ってしまったら(この歌詞を本気で書いていることがわかるので)、無防備にも思い切りグッと来てしまう。ステージの上ですべてをさらけ出し、オーディエンスとの信頼関係が築き上げてきたからこそ成立する、驚異的なエモ・ナンバー。全力パワーで突き進む高速のビート、歌の感情を増幅させるようなギターサウンドの暑苦しさも最高。このまま10月の日本武道館ライブまでブッ飛ばしてほしい。
Swimy『おひとりさま』(ミニAL)
安定した人気を持つアニメ「銀魂°」EDテーマ「あっちむいて」(楽曲の緻密な構成とリンクしたMVは再生回数70万回を突破)でメジャーデビューした男の子2人、女の子2人のトリプルボーカル・バンド、Swimyのミニアルバム。『おひとりさま』というタイトル通り、“ひとり”“孤独”そして、その裏側にある“愛されたい”という切実な思いをテーマにしたこの作品には、メインソングライターであるTakumi(V&G)の“Swimy以前”の個人史が反映されているという。他者とのリアルな共感を得られないことに対する葛藤、抑えきれない承認欲求と将来に対する生々しい不安。それらの感情は言うまでもなく、現代を生きるすべての人が抱えているものだ。シリアスなテーマをむき出しにするのではなく、ドリーミーかつファンタジックなサウンドメイク、卓越したコーラスワークと優れたメロディメイクによって質の高いポップミュージックに結実させているところも見事。自らストーリーを生み出せるという意味では、セカオワに通じる才能を感じる。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。