GENERATIONS、新山詩織、井上苑子、ブルエン、Swimy……6月29日発売新譜の注目作は?

 その週のリリース作品の中から、押さえておきたい新譜をご紹介する連載「本日、フラゲ日!」。6月29日リリースからは、GENERATIONS from EXILE TRIBE、新山詩織、井上苑子、BLUE ENCOUNT、Swimyをピックアップ。ライターの森朋之氏が、それぞれの特徴とともに、楽曲の聴きどころを解説します。(編集部)

GENERATIONS from EXILE TRIBE『涙』(SG)

 憂いを帯びたメロディライン、繊細なピアノから始まり、ストリングスを効果的に使った抒情的なアレンジメント、そして、恋人同士のいちばん最初の“涙”をテーマにしたリリック。GENERATIONSのニューシングル『涙』はリスナーの疑似恋愛妄想を刺激するような王道のバラードナンバー。夏の始まりの時期にあえてバラードをぶつけてくる試みもおもしろいし、楽曲のクオリティも文句なし。“優れたバラードによってリスナーの幅を広げ、本格的ブレイクのきっかけにつなげる”という戦略はEXILE TRIBEグループの得意技のひとつだが、GENERATIONSが首尾よく結果を残せるか、ぜひ注目してほしいと思う。成功のカギはおそらく、片寄涼太、数原龍友のボーカル。歌を前面に押し出した「涙」によって、若さだけではなく、いい歌を歌えるグループであることを印象付けることができれば、この後の展開は大きく違ってくるだろう。

GENERATIONS from EXILE TRIBE「涙」

新山詩織『あたしはあたしのままで / 恋の中』(SG)

 歌いたいことが先にあるのではなくて、実際に歌ってみることで“自分には表現したいことがあったんだ”と気付くというのが本当のところだと思うのだが、新山詩織の新しい歌を聴くたびに、声そのものがメッセージを引き寄せることで生まれる圧倒的なリアリティを思い知らされる。もちろんニューシングルの1曲「あたしはあたしのまま」にも彼女の特性が強く表れている。焦燥という言葉がよく似合うメロディ、そして、切実な思いを生々しく映し出すボーカリゼーションによって、<泣きたい自分に苛立って><まだ行ける きっと>というフレーズに強い説得力を持たせているのだ。シンガーとしての彼女の魅力を正確に把握し、それをサウンドメイクに活かしている島田昌典のプロデュースワークも素晴らしい。もうひとつの表題曲「恋の中」は新山が出演した月9ドラマ『ラヴソング』の劇中歌。福山雅治の作詞作曲によるブルース歌謡的なナンバーだが、彼女の声のなかにある憂いを上手く引き出していると思う。

新山詩織「あたしはあたしのままで」MV(Short ver. 歌詞入り)

井上苑子『ナツコイ』(SG)

 “miwa、大原櫻子に続く、ギター女子のブレイク候補No.1はこの子!”と10代の女の子を中心に大きな注目を集めているシンガーソングライター、井上苑子のメジャー2ndシングル。表題曲「ナツコイ」は人懐っこいボーカルの特徴を活かしたメロディライン、思春期の夏の恋をテーマにしたストレートな歌詞、爽やかなバンドサウンドと切ない感情を描き出すストリングスを軸にしたアレンジを含め、ヒットの法則を的確に押さえられたポップチューンに仕上がっている。SNSを中心にしたプロモーションで支持を得ている彼女だが、ボカロ、アニソンなどを日常的に聴き、ポップスに対するリテラシーが高まりまくっているであろう10代女子にアピールするためには、パッと聴いた瞬間のインパクトと何度も聴いても飽きないクオリティが必要不可欠なのだ。クリープハイプの代表曲「左耳」のカバーを収録することで、バンドシーンに対するアプローチも万全。この曲、舌足らずな女の子が歌うと何だかゾクゾクする。

井上苑子「ナツコイ」

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