KAT-TUN、逆境で見せた「たくましさ」 田口脱退表明後の出演番組から読み解く

 まず驚かせてくれたのが、『オールスター感謝祭』(TBSテレビ系)での上田竜也だった。番組恒例の赤坂ミニマラソンに出場した上田は、箱根駅伝の「山の神」として有名になった青山学院大のエース・神野大地を1秒差で振り切り、優勝した。ハンデ込み、『炎の体育会TV』(TBSテレビ系)にレギュラー出演し、ボクシング経験者でもあるなど元々運動能力には定評があったとは言え、予想を超える健闘ぶりだった。それだけでなく、レース後に「苦しかったんですけど、いま自分の背負っているものが、メンバーとかファンのこととかいろいろあるんで、絶対負けられないと思って最後まで出し切りました」と語ったことも大きな反響を呼んだ。そこには当日出演していた中丸雄一が見守る姿もあり、まさにKAT-TUNというドキュメンタリーを現在進行形で見ている感覚を味わわせてくれた場面だった。

 またこれも『タメ旅』などの効果だと思うが、KAT-TUNが「いじってよい人たち」という了解が広まったこともよい流れを生み出している。やんちゃというイメージがデビュー時から強かった彼らは、バラエティにおいてはそれが必ずしもプラスにならなかった面がある。だが『タメ旅』でのきつめのいじりに鍛えられた結果、彼らはやんちゃさのイメージを損なわずにバラエティで個性を発揮する道を切り開いた。

 充電期間直前の4月27日にゲスト出演した『櫻井・有吉のTHE夜会』(TBSテレビ系)では、そんなKAT-TUNの新境地を垣間見ることができた。内容は、3人をそれぞれよく知る有名人から「いかがなものか」と感じるエピソードが寄せられ、その弱点を克服するためのロケをするというものだった。

 まず亀梨和也は、「カッコ良さが狭い」という弱点克服のために、違うカッコ良さを求めて柔道の受け身で絵を描く不思議なパフォーマンス・アートやハリウッドザコシショウのハイテンションギャグなどに挑戦した。いつも見せる器用さを発揮しながら、どんなものでも即座にこなしてしまうところは流石だった。

 続いて上田竜也は、人見知りもあって「第一印象が悪い」という弱点をなくすため、りゅうちぇるらのリードで原宿系カワイイ男子に変身した。普段のファッションとのあまりのギャップにいやがりながらもしぶしぶ従うところが笑いを誘う。意外に似合う変身姿にスタジオも沸いていた。

 最後の中丸雄一は、「マイペース」ゆえに遅刻してしまうこともある弱点を克服するため、スタッフがわざとロケ先に遅刻させ、そこに待ち構えていた的場浩司にいきなり説教をされるというドッキリ。的場のあまりの迫力に固まってしまうリアクションの面白さに加え、誠実で素直な人柄も伺えて印象的だった。

 いずれも、やや強引と言えなくもないスタッフによるむちゃブリという演出で、基本的には『タメ旅』のいじりと同じである。ただそれを個々のメンバーでやるところが違っている。むろん充電期間直前であることを踏まえてのことだが、それゆえメンバーが揃ったロケでは見えにくいそれぞれの成長が感じられた。一言で言えば、たくましくなった。『タメ旅』での2年余りに及ぶ経験の蓄積の効果ではなかろうか。

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