ガールズバンド健闘の最新チャートにみる、SHISHAMOの”鮮やかな変貌”

 ここ数年の音楽マーケットを牽引するものとして「ロックフェス」「女性グループアイドル」の2つがあるが、その盛り上がりが未来永劫続く保証はないし、すでに陰りのようなものも一部では見え始めている。そんな観点から考えたときに、『SHISHAMO 3』という作品はなかなか示唆に富んでいる。このアルバムで展開されている様々な音楽的意匠を駆使した世界は、フェスで支持を得たバンドが次のフェーズに進むにあたって目指すべき一つのモデルケースとなるはずである(もちろん誰もが狙ってこのクオリティのものを生み出せるとは限らないが)。また、女性だけで構成されるグループがそのセールスポイントを「若さ」「可愛さ」以外の要素にも拡張していくにあたって、SHISHAMOが今作で見せた鮮やかな変貌は、グループアイドルにとっても参考となる部分が大きいのではないかと思う。

 2010年代も後半に入ったが、このディケイドが終わるころ、「『SHISHAMO 3』がシーンにとっての一つの分岐点になった」と言われるようなことがもしかしたらあるかもしれない。

■レジー
1981年生まれ。一般企業に勤める傍ら、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が音楽ファンのみならず音楽ライター・ミュージシャンの間で話題に。2013年春にQUICK JAPANへパスピエ『フィーバー』のディスクレビューを寄稿、以降は外部媒体での発信も行っている。

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