ニューシングル『透明な女の子』インタビュー
花澤香菜✕山崎ゆかりが語り合う、“挑戦の季節”の始まり「私を支えてくれるものが増えている」
「常に変わりたい、成長したいっていう気持ちがすごくある」(花澤香菜)
ーー曲はどんなところから作り始めたんでしょう?
山崎:私、曲を作りだめしないんですよ。なので、いつも空っぽなんです。だから、最初お会いしたときに、花澤さんに「テーマがほしい」って言ったんです。言葉でも写真でもなんでもいいから、何かほしい。そこから私は感じ取って、曲を書きたいって伝えたんですね。そしたら花澤さんが2、3モチーフくらいくれたんですよ。
ーーそれはどういうモチーフだったんですか?
山崎:それは秘密です。
花澤:(笑)。自分の好きな小説の中の1行とか、今自分が思ってることを言い表してくれてるかなって思う箇所を、お送りした感じです。
山崎:それを受け取って考えついたのが、「透明な女の子」という曲でした。
ーー今回のシングルには「変化したい」という意志のようなものが投影されていると思うんですが、それは花澤さんの意識から生まれたものだった。
花澤:そうですね。音楽をやるにも芝居をやるにも、常に変わりたい、成長したいっていう気持ちがすごくあるので。自分の芯がブレそうになるときもあるんですけれど、そういう時に強くやっていけたらいいなっていう思いを支えてくれる1行をお送りしたんです。
ーー自分の気持ちを小説の中の1行に託した、ということですか?
花澤:私、普段からあんまり人に相談して解決するタイプではなくって、自分の頭の中でずっとぐるぐる考えてる方なんです。そういうときに小説が頼りになって、何度もいろんなピンチを救ってもらってきた。そういうところから自然と出てきたのかなと思います。
山崎:その小説の下には、花澤さんがなぜそれを選んだのかという理由も書いてありました。
花澤:ほんとですか?(笑)。何書きましたっけ?
山崎:そこから考えると、「変化したい」という言葉もそうですけれど、もっと近いのは「挑戦したい」っていう言葉だと思いました。私にとっても花澤さんのプロデュースを手掛けるのは挑戦でもあるし、二人で挑戦すれば、うまい化学反応が起こるのではないかっていう思いもありました。だから、キーワードをもらったときに「やる気だな」と思いましたね。
ーーそこから「透明な女の子」という曲のイメージはどのように結びついていったんでしょうか。
山崎:曲に登場する「透明な女の子」というのは、強い女の子なんです。人間の中には強い部分と弱い部分が共存しているし、だからこそ毎日が楽しいし、人生が豊かになるんだと思うんですよね。そういう強い部分と弱い部分を持っている女の子ということを書き表した曲なんです。
ーー両面性というものがキーになった。
山崎:はい。その「透明な女の子」は常に自分の周りにいるというか、自分の傍にいるんですよ。自分の中に二人いる。そういうことを書きました。
ーー花澤さんの中にも強い自分と弱い自分ってありますか?
花澤:もちろん。
ーーそれはどんなところに感じたりしますか?
花澤:お仕事をしてるときの自分は強い自分だと思うんですよね。やる気まんまんみたいな(笑)。そういう自分がいるんですよね。でも、お家に帰って、へにゃあとなると、うじうじしたりとか、本当に明日仕事に行けるんだろうかみたいな、そんな風になったりもするので。でも、そういう自分の中にも強い女の子がいるんだって意識するだけで、心強くなれるような楽曲になるのかなって思いました。
ーー歌詞の中でも「透明な女の子」が、ちゃんと寄り添ってくれる存在として描かれている。
山崎:そうです。基本は弱い女の子なんですよ。人間って、みんな脆いと思っているので。そこに、ぼんやりだけど強い自分もいるっていう。
ーーこういった曲でビジュアルを表現するときにどういうことをまず考えましたか?
山崎:あれですか? 金髪の話ですか?
花澤:金髪の話(笑)。
ーーはい。アートワークとかビデオクリップの中で花澤さんが金髪になっている。
山崎:私としては、この曲の「透明な女の子」が本当にいるというのをはっきりと見せたかったんです。透明な女の子と普通の女の子をわけたかった。表情とかメイクのバリエーション違いだったら弱いですよね。それより、全部が違うという風にしたかった。
花澤:衣装合わせのときに山崎さんがウィッグを持ってきてくださったんです。
山崎:非常に出しにくかったですけどね。なので、恐る恐る、そっと出しました。
花澤:で、スタッフも「新鮮だねえ」って(笑)。でもコスプレって感じではなく、私の今の自然な髪型のまま、ただ金髪になったような感じにしたいっていうことだったので。そこからメイクさんが馴染むようにいろいろ工夫してくださって、私の今の髪型に本当に近くなるようにしてもらったんです。
ーーなので、最初に写真を見た時にはウィッグと思いませんでした。
花澤:そういう狙いだったんです(笑)。なのでビックリした方も多かったんですけど。
ーーミュージックビデオのアイデアはどういうところから思い浮かべたんでしょうか。
山崎:曲に登場する「透明な女の子」には本当は飛んだりとかしてほしかったですけど、ちょっとそれは難しいので、女の子が歩きながら歌ってて、しかも背景が海で、なんか変わった子だなという感じに映るのがいいなと思ったんですね。そこからコンテを書いて花澤さんにお願いした感じです。「普通の女の子」には、ただ佇んでいてほしい。そういうイメージがうまく出てるような気がします。
花澤:まずコンテを書いてくださったのに、もうすごいビックリしました。撮影もすべて山崎さんの頭の中にあるものをパッパッパッって撮っていく感じだったんで、「何この無駄のない動きは」って(笑)。
ーーまさに監督だったんですね。
花澤:そうなんです。なので、よりワクワクが増した感じでした。