コンセプトアルバム『キミへ ~LOVE SONG COLLECTION~』インタビュー

FUKIがラブストーリーに込めた、ありのままの感情「自分の中にあるものしか歌えない」

 昨年10月にメジャーデビューを果たしたシンガーソングライターのFUKIが、2月10日に“ラブストーリー”をコンセプトにしたアルバム『キミへ 〜LOVE SONG COLLECTION〜』をリリースする。FUKI自身のリアルな感情をもとに出会いから別れまでの物語を綴った同作は、サウンド面においても良質なJ-POPとして幅広いリスナーに届きそうな仕上がりだ。ダンサブルな要素を入れた楽曲から、ピアノやストリングスを効果的に効かせたバラードまで、楽曲ごとに多彩な恋愛模様を描いている。デビューとなった配信シングル「キミじゃなきゃ」以降のインタビューとなる今回は、それぞれの楽曲に込めた想いを中心に、歌への向き合い方についてもじっくりと語ってもらった。

「いろいろな感情がはっきり表現できた」

ーー2月10日にリリースされる『キミへ 〜LOVE SONG COLLECTION〜』は、“ラブストーリー”をコンセプトとした作品です。FUKIさんの声、そして歌詞の魅力が詰まったアルバムに仕上がりましたが、このコンセプトはどう決まったんですか?

FUKI:普段から歌詞を書いていくと、自然と恋愛の歌が多くなってくるんです。ただ、同じラブストーリーでも、出会いから別れまでいろいろな物語があるなと思って。それでひとつのアルバムとしてまとめてみようということになって、プロデューサーのEIGOさんと話し合って、シチュエーションを決めながら楽曲を並べていきました。

ーー今作のリードトラックになっている「キミへ」は、好意を寄せていた人への思いを断つような、切ない感情が歌われている楽曲ですね。

FUKI:「キミへ」は私のリアルな話がもとになっているんです。デビュー前に「カタオモイ」(M.05)を書いたとき、好きだった人がいて。当時は相手から何も言ってもらえなかったんですけど、デビューしたあとにいきなり連絡が来たんですよ。そのときは正直、“いまさら何だよ!”というギスギスした気持ちが強くて。その想いを曲にしていくなかで、“もうあの時の気持ちには戻れない”という心の揺れや切なさが出てきて、曲に深みが出たと思います。

ーー複雑な思いが描かれている楽曲なんですね。実際の曲作りは、どんなふうに進んだんですか?

FUKI:ピアノの前に立ったら、サビと詞がほとんど同時にできました。スラーっと自然に、メロディも歌詞も出てきたんです。たぶん、それだけ想いが強かったんだと思います。号泣しながら作ったのを覚えているので(笑)。

ーー曲を仕上げていく過程で何度も聴き直すと思うのですが、そこで気持ちが整理できることもあったのでは?

FUKI:そうですね。すごくスッキリしました。モヤモヤしていた気持ちを歌詞にできたことで自分の中でしっかりと消化できた感じがありましたね。

ーー「カタオモイ」には「キミへ」につながる、それ以前の感情が描かれているということでしたが。

FUKI:2年くらい前に作った曲です。恋をすると、“好きという気持ちを伝えちゃったら、嫌がられるんじゃないかな”という不安があるじゃないですか。告白したら、もう会えなくなるかもしれない。それだったら、このままのあやふやなままのほうがいいな……という気持ちを曲にしたんです。この曲にも私の気持ちが全面的に出ているから、今聴いてもその時の気持ちが蘇ってくる感覚はありますね(笑)。

ーー今回の作品を通して、自分自身が経験してきたこと、考えていることを表現できた、という部分もあるんですね。

FUKI:はい。それぞれのラブストーリーを描くなかで、いろいろな感情がはっきり表現できました。1曲1曲違う気持ち、シチュエーションで、そのどれも私色にできていると思います。

ーー同時にサウンドもポップな楽しい曲もあり、切ない曲もあって、リスナーもさまざまなシチュエーションで聴ける作品です。音作りや歌入れについてはどんな方針で?

FUKI:特に「キミへ」や「キミじゃなきゃ」はストリングスを生録音したり、すごく豪華にアレンジされ、自分だけでピアノ一本で作っていたときよりも壮大な曲になったと思います。その分、歌が負けないようにしなきゃなと思いました。だからレコーディングでは、感情をむき出しにして歌いましたね。情熱的に表現すると、すごくエネルギーを使うんですけど(笑)。そのなかで、「キミがスキ -Winter Ver.-」はハッピーな曲なので、他の曲よりも穏やかな気持ちで歌っています。そういう歌の部分での表現の変化もあって。いろいろなシチュエーションの楽曲が入っているので、きっと3カ月後に同じ歌を聴いたら、印象が違うと思うんです。“当時はこの曲が自分にはいちばんピッタリきていたけれど、今はこの曲の気持ちだなぁ”という感じで、ずっと楽しめる作品だと思います。

ーー「キミへ」のMVも観させてもらいましたが、ピアノも披露されていますね。

FUKI:そうですね。自分の想いをしっかり込めた曲ですし、シンガーソングライターとして、手作り感も含めて伝えたいと思ったんです。ピアノはそんなにうまくないんですけど、MVのために練習しました(笑)。

FUKI - キミへ (Music Video) 2/10発売 Concept Album「キミへ ~LOVE SONG COLLECTION~」収録曲

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