『あさが来た』とAKB48の主題歌に共通する“強さ” 秋元康の作家性が表れた一曲を分析

 新しいNHK連続テレビ小説(以下、朝ドラ)がはじまった。

 タイトルは『あさが来た』。

 女性実業家がほとんどいなかった時代に探鉱事業や銀行経営に関わり、後に日本女子大を設立の発起人の一人となった広岡朝子の生涯をモデルとした物語だ。舞台は江戸時代の幕末からはじまり明治、大正と時代が進んでいく。

 まだはじまったばかりだが、現時点での注目は、あさとはつという、二人のヒロインだろう。

 主人公のあさは明るくで行動的。おっちょこちょいで抜けたところもあるが、理不尽なことに対しては異論を唱え、自分の意思で生きようとする女性だ。

 一方、はつは、おとなしく引っ込み思案の性格。あさと違い、家のために嫁ぐという運命を幼い頃から受け入れている。

 近年の朝ドラは『ひらり』や『ふたりっ子』といった過去作で培った正反対のヒロインを登場させるWヒロイン制度を自覚的に取り入れている。

 あさとあつはその典型で、二人の対比で物語を見せる方向で進んでいる。

 この二人の対比は演じる女優にも当てはまる。

 主演を演じるのはオーディションで合格した波瑠。過去の朝ドラがそうであるように、半年という長丁場の間、一人の人物を演じることで、女優として成長する姿が楽しみである。

 一方、はつを演じる宮崎あおいは、年齢こそ29歳だが、06年のドラマ『純情きらり』で主演を務め、映画、アニメなど様々なジャンルで演技力は絶賛されている。

 そのため二人が並ぶと、あさ以上に圧倒的な存在感が出てしまい、現時点では主演の波瑠を食いかねない勢いである。

 朝ドラは現在、一番勢いのあるドラマ枠だが、常に問題となるのはヒロインの難しさについてだ。

 毎回、朝ドラのヒロインには古い時代に新しい価値観を生きた女性像が求められる。本作のあさもそうで、それは多くの場合、仕事による自己実現という形で描かれる。

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