EXILE TRIBE流エンタメのネクストレベル?『HiGH&LOW』はグループ飛躍の起爆剤となるか
EXILE、三代目J Soul Brothers、GENERATIONS、劇団EXILEらで構成されたEXILE TRIBEのメンバーをはじめ、さまざまなジャンルの出演者が集結したクロスメディア型の新たな総合エンタテインメント『HiGH&LOW』が始動している。
これは、ある街を支配していた伝説のチーム「ムゲン」と凶悪な「雨宮兄弟」の戦いから物語が始まり、その後新たに誕生した五つのチームと謎の組織の抗争という世界観をドラマ・映画をはじめさまざまなメディアで展開していくというもの。ドラマ開始前からさまざまな展開が予定された今回の大型企画について、ドラマ評論家の成馬零一氏に話を聞いた。
「EXILE TRIBEのメンバーが出演するドラマは、今まで二つの路線がありました。一つは『GTO』(フジテレビ系)のような元ヤンキーの30代くらいの男性が主人公の物語、もう一つは『ワイルド・ヒーローズ』(日本テレビ系)のような、複数の登場人物が学園抗争を繰り広げたり、裏社会で戦ういわゆるヤンキーもの。ヤンキーものの映像作品は、高橋ヒロシ原作の漫画『クローズ』のヒット以降増えており、男性俳優がたくさん出演する作品の雛形となっていきました。そんな中『ワイルド・ヒーローズ』は、大人の男性が主人公のグループ抗争もの、という二つの路線の合わせ技でした。『HiGH&LOW』は『ワイルド・ヒーローズ』の延長にあるような企画ですが、徹底して設定や戦略を作り込んでいるという印象を受けました」
今回『HiGH&LOW』では、EXILEからはAKIRA、TAKAHIRO、橘ケンチ、黒木啓司、岩田剛典、白濱亜嵐、佐藤大樹、三代目J Soul BrothersからはELLY、山下健二郎、登坂広臣、GENERATIONSからは佐野玲於、劇団EXILEからは青柳翔、秋山真太郎、小澤雄太、鈴木伸之、町田啓太、小野塚勇人、野替愁平、八木将康、佐藤寛太といったEXILE TRIBEのメンバーが一堂に集結する。作品内で活躍が期待できるメンバーとは?
「“誰が活躍するのか”こそが、最大の見どころとも言えますよね。私はわりとEXILE TRIBEの若手メンバーの演技が好きです。中でも鈴木信之さんはとてもいい役者さんで、学園ものの悪役などでいい芝居をします。あとは、登坂広臣さんでしょうか。他にも窪田正孝さん、遠藤雄弥さんなどの若手実力派俳優や、中村達也さん、ゴールデンボンバーなどのミュージシャンたちの演技や絡みにも注目です」
10月21日スタートの深夜連続ドラマ(日本テレビ系)から、Huluでの特別版ドラマ配信、漫画、SNSとの連動、2016年には7月上映予定の映画、オリジナルアルバム、ライブツアーとさまざまなコンテンツと連動した多角的な展開方法は、もともとEXILE TRIBEが所属するLDHが得意としてきた手法であると成馬氏は述べる。
「連続ドラマが好評で、後に続編や映画がつくられるという形で複数のメディアに広がっていたドラマは過去にもいくつかありましたが、たしかに最初からここまで大風呂敷を広げたものは今までにありませんでした。発想が『ビックリマンチョコ』や『機動戦士ガンダム』のような、背後に大きな物語が存在し、個別のものに価値が生まれるという、評論家の大塚英志が『物語消費論』で指摘したような世界観をベースに小さな物語を見せていく考え方に近い。また、オリジナルアルバムのリリースでは、じん(自然の敵P)というボカロPプロデュースの『カゲロウデイズ』を思い出しました。これも、さまざまな楽曲が一つの物語を作り上げるというプロジェクトです。『エグザムライ』というEXILEをモデルとしたアニメ作品を展開したことがあるように、LDHはメンタリティーはヤンキー、戦略はオタクというアプローチを実はこれまでも度々試みてきています」