紀里谷和明、映画監督としての“しくじり話”を吐露「日本映画界から超嫌われちゃった」

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『しくじり先生 俺みたいになるな!!』

 映画監督の紀里谷和明が、8月4日に放送された『しくじり先生 俺みたいになるな!! 2時間スペシャル』(テレビ朝日系列)に先生として出演した。同番組は、「人生を盛大にしくじった人からしくじりの回避法を学ぼう!」をコンセプトに、“しくじり先生”が自らと同じ失敗を犯す人たちが増えないよう、番組オリジナルの教科書を使いながら授業を行うというもの。

 紀里谷が教室に登場し、生徒役キャストの面々に「僕のこと知ってますか?」と問いかけると、あき竹城が「宇多田ヒカルの元ご主人!」と即答し、オードリー若林が「デリカシーゼロか!」と返して笑いが起き、紀里谷は「初っ端から言っちゃいましたね、それで僕も気が楽になりました」と笑顔を浮かべた。紀里谷は「日本映画界から超嫌われちゃった」「日本映画界を超バカにしちゃった」と語り、具体例として2003年に映画監督になった直後の雑誌インタビューでの発言内容を3つ紹介。1つ目の発言は「映画監督として成功してるの異業種の人ばかりじゃん」、2つ目は「予算が少ない事を言い訳にして、すぐ『日本じゃ無理〜』とか言いやがるよね」、3つ目は「『邦画』とかいうカテゴリーが訳わかんない。なんで世界に通用する映画を作らないの?」というもの。紀里谷は「これらのせいで10年間映画が撮れなくなり、ひとりぼっちで無駄な時間を過ごしてしまいました」と明かした。

 紀里谷が自身のしくじりを話したところで、本日の授業テーマとして提示されたのが、「夢に向かって挑戦するあなたが、思ったことを言いすぎて『ひとりぼっち』にならないための授業」であった。まず、日本映画界に嫌われた大きな原因として「それまで映画を1本も撮ったことがなかった」にもかかわらず、批判を繰り返していたと話し、監督第1作目の『CASSHERN』撮影時には、日本映画界のしきたりを「ガン無視していた」と語った。しかし、続けて「映画業界は非常に閉鎖された村みたいなところ」と話し、ハライチの澤部佑に「まだ治ってないじゃないですか!」と咎められた。さらに紀里谷は「使った助監督の総人数は7名。途中でばんばんクビにしちゃいました」と告白。あき竹城は「まずいよ、クビにしたら」と、その行動を批難した。また、製作以外の部分にまで口を出し、当時の宣伝会社に対し「クソだせぇ宣伝プラン考えやがって!」と暴言を吐いていたことも明かした。そのうえ紀里谷は「そもそも映画を難しく考えてなかった。映画なんて尺が長いだけじゃん!」と発言し、映画コメンテーターの有村昆とスタジオ内で言い争いになる場面もあった。

 日本では評価されず、ハリウッドからオファーが来た際は「日本映画とはこれっ“きりや”」と考えた紀里谷だったが、2008年のリーマンショックにより「大不況で映画の話が“ポシャーン”」。進行中のプロジェクトがすべて白紙になり、製作費のウン10億円がなくなったという。監督第1作目が酷評だったとはいえ、もし、あのまま日本にいたら2〜3本撮れていたはずが、ここでもしくじったのだ。そんな紀里谷が「キャシャーンからポシャーンでジャパーンにリターン!」と生徒たちと復唱し、自虐的にVサインすると、教室は笑いに包まれた。

 これらの失敗を踏まえ、反省したと語る紀里谷は、日本映画界で出直そうと監督第二作『GOEMON』を世に放った。しかし、同作に自ら出演したことにより「あいつ自分好き過ぎてひくわ〜」と批判されてしまったという。これに対し、先ほど『CASSHERN』を酷評していた有村が、この『GOEMON』については「前回の反省をすごく踏まえて、良くなってたと思います、すごく面白かった」と擁護するも、瞬時に舌打ちした紀里谷は「良くなってたって誰の目線だ!?って感じしません?」と切り返し、再びスタジオが笑いに包まれた。有村が「『GOEMON』は『CASSHERN』と同じく後半に演説大会が始まるんです」と話すと、紀里谷は「『こうあるべきだ』が嫌で嫌でしょうがない。僕たちがやっていることは新しい可能性の提示。人が理解しないことでもチャレンジしていいじゃないか」と、その演出の意図について語った。また、当時について「猛烈な孤独感に襲われて、世界中に友達なんて誰もいないじゃないかと思っちゃった」と語るとともに、「紀里谷はひとりっ“きりや”」と続け、そこで「とにかく気づいたんです。映画は皆に支えられながら作ってるものじゃないですか。周囲の協力があるから自分の仕事は成立する。どんなにイキがっても一人じゃ作れません」と述べた。

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