3rdフルアルバム『WINDOW』インタビュー
Drop's・中野ミホが語る、バンドの“今”とこれから 「いい意味で新しいスタートが切れる」
60〜70年代のロック、ブルースなどをルーツにしたバンドサウンド、繊細に揺れる感情を映し出す歌によって注目を集めるDrop’sが、3rdフルアルバム『WINDOW』を完成させた。前作『HELLO』以降にリリースされた2枚のEP(『さらば青春』『未来』)の表題曲を収録、「楽曲の表情がそれぞれに違っていて、変わっていく窓の景色みたいだなって」(中野ミホ/V&G)という本作は、古き良きロックを愛し、それを現代の音楽として体現し続ける彼女たちの“いま”が色彩豊かに表現された作品となった。(森朋之)
「いま自分たちが好きなことをそのままやった」
ーー前作『HELLO』は70年代の日本の歌謡曲のテイストを取り入れるなど、歌を強調した作品でしたが、今回の『WINDOW』はDrop’sのルーツを色濃く感じさせるアルバムですね。
中野ミホ(以下、中野):そうですね。いま自分たちが好きなことをそのままやった、という感じがしています。『HELLO』は自分たちなりのポップというか、外に向いたものを作ったので、次はもうちょっとディープなことをやってみようかなって。もちろん歌も大切なんですけど、そればかり考えていてもつまらないし……。最初から意識していたわけではなくて、曲を作っていくうちに、そういう感じになっていたんですけどね。
ーー「さらば青春」「未来」など既にリリースされていた楽曲も含まれていますが、アルバムの収録曲は『HELLO』以降にできたものが多い?
中野:いろいろですね。「ホテル・カウントダウン」は、前のアルバムを作っていた時期には原型っぽいものがあったし、「ビート」のリフも3rd EP『未来』の頃にはあったと思うので。歌詞はぜんぶ今年に入ってから詰めていったものが多いです。いままでは100%自分の経験をもとにしていたんですが、物語性があるものというか、フィクションみたいに書いたりもしましたね。
ーー作風を広げたかった?
中野:それもあるし、一時期に(集中して)歌詞を書いたから、そんなにたくさん歌いたいこともなくて(笑)。「ホテル・カウントダウン」もひとつの物語を音に当てはめていった感じなんです。情景を思い浮かべながら書くというか。「三月のブルー」もそうですね。
ーー「三月のブルー」のアレンジは、ギターではなく、ピアノが中心ですね。
中野:ピアノで作った曲なんですよ。キャロル・キングみたいな感じでやってみたいなと思って、適当にピアノを弾きながら、自分で“気持ちいい”と思うところを探っていって。好きなように転調しているので、途中からコードネームとかもわからないんですけどね(笑)。いままではほとんどギターで作曲してたから、すごく新鮮でした。
ーー確かに70年代のアメリカのポップスの匂いがしますよね、この曲。「ローリン・バンドワゴン」の作曲はギターの荒谷朋美さんとの共作、「moderato」はキーボードの石橋わか乃さんが作曲に参加。中野さん以外のメンバーも曲作りに関わっているのも、ひとつの変化ですよね。
中野:最近少しずつ、他のメンバーが曲を持ってきてくれるようになってるんです。ベースラインとかギターのリフだったりするんですけど、それをもとにして、みんなで構成やアレンジを考えて。私がせっぱつまってると、“こんなのもあるよ”って曲の原型を聴かせてくれたりするんですよね。
ーータイミングを見計らって?
中野:そうかもしれないです(笑)。「moderato」は石橋が歌詞のアイデアも伝えくれたんです。“彼氏とケンカした背の高い女の人が旅に出る”っていう、けっこう具体的なイメージだったんですけど、そういう作り方も楽しかったですね。