なぜアイドルはグラビアに向かうのか? 地下アイドル・姫乃たまが考察

 地下アイドルとして活動していると、イベント中や、CDのジャケットなど、カメラを向けられる機会が多く、自然と撮影されることに慣れていきます。私はグラフ誌のライターをしていたので、カメラマンの方と知り合う機会も多く、作品撮りのモデルなどを依頼されるうちに、撮影会や同人即売会から声がかかるようになりました。私がモデルのような仕事をするようになったのは、こういった経緯です。

 周囲の地下アイドルにも、ライブとグラビアの仕事を両立させている方が大勢います。ご覧いただいた通り、私の経緯はかなりぼんやりとしたものですが、地下アイドルがグラビアに挑戦するのには、いくつか理由があるようです。

 最も多かったのは、活動の場を広げて、知名度を上げたいという理由でした。AKB48がグラビアに参入していった理由にもあげられると思います。はたから見れば同じアイドルファンかもしれませんが、ライブと撮影会と即売会と掲載誌の読者では、それぞれ客層が違うのです。

 次に多かったのが、所属事務所の方針でした。収益やネット配信の視聴数をあげるために、水着で活動させられている方も多いようです。歌唱力が高く人気のあった子が、撮影会に嫌気がさして引退してしまったこともあれば、ネット配信のために水着を着たのがきっけで、グラビアアイドルに転向して、以前より人気が上がったという例もあります。反対に、グラビアアイドルを志望して所属したところ、ライブばかりさせられるようになり、なんとか頼み込んでやっとグラビアの仕事ができるようになったと話す子もいました。

 また、グラビアアイドルから地下アイドルになった方は、歌手になるための通過点として、グラビアアイドルになったと言います。ほかの同じ経歴を持つ方も、歌の仕事を探してオーディションを受けたところ、全社からグラビアアイドルとして声がかかり、まずは需要のある仕事から始めようと思ったそうです。ふたりとも、グラビアアイドルとして培った、表情の作り方や、人からの見られ方が、現在のライブ活動に生かされていると話していました。

 今年の4月に、人気グラビアアイドルの篠崎愛さんがソロ歌手デビューして話題になりました。今後はグラビアアイドルからの参入が始まって、ますますアイドルのあり方の多様化が進むかもしれません。

■姫乃たま(ひめの たま)
地下アイドル/ライター。1993年2月12日、下北沢生まれ、エロ本育ち。アイドルファンよりも、生きるのが苦手な人へ向けて活動している、地下アイドル界の隙間産業。16才よりフリーランスで開始した地下アイドルを経て、ライター業を開始。アイドルとアダルトを中心に、幅広い分野を手掛ける。以降、地下アイドルとしてのライブ活動を中心に、文章を書きながら、モデル、DJ、司会などを30点くらいでこなす。ゆるく、ながく、推されることを望んでいる。

[HP] http://himeeeno.wix.com/tama
[ブログ]姫乃たまのあしたまにゃーな http://ameblo.jp/love-himeno/
Twitter https://twitter.com/Himeeeno

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