『葡萄』ロングセラー化に見る、サザンの驚異的なメインストリーム力

 もっとも、一つ指摘しておかなくてはならないのは、そんなサザンでさえも、前作『キラーストリート』が100万枚を軽く超えたのに対して、本作のセールスはまだその半分を下回っているということ。「10年前からオリジナルアルバムのセールスが約半減」というのは他のバンド/グループと比べれば奇跡的に踏みとどまっていると言えますし、iTunesチャートでもずっとトップ3をキープしていることも合わせて、そのほぼ全世代のリスナー層における健闘ぶりは見事なものですが、「サザンでさえも」と「さすがサザン」の二つがコインの裏表となっているのが、現在のところの『葡萄』のセールスの実態と言うべきでしょう。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

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