KAT-TUN「KISS KISS KISS」はなぜ郷愁を誘う? ハイブリッドな音楽性を読み解く

 ちなみに、「KISS KISS KISS」を聴いたときに、どこか遠い記憶を刺激された気がした。清新なサウンドにもかかわらず、独特な古臭さ――ああ、そうだ。これはかつて、KinkiKids「硝子の少年」を聴いたときの記憶だ。清新なアーリーハウスのビートに、マイナー調のメロディ。そして、うっすらとラテン風味。すでにメディアで活躍していたKimkiKidsの満を持して放ったデビュー曲が、独特のノスタルジーに包まれていたことをよく覚えている。いま思えば、これは、作者である山下達郎なりの歌謡曲の更新だったに違いない。そして「硝子の少年」はいま聴いても、やはり名曲である。だとすれば、当時Jポップしか知らなかったのもかかわらず、筆者が抱いたような郷愁が、「Kiss Kiss Kiss」に対しても抱かれることを望む。それは歌謡曲への郷愁に他ならないのだ。

■矢野利裕(やの・としひろ)
批評、ライター、DJ、イラスト。共著に、大谷能生・速水健朗・矢野利裕『ジャニ研!』(原書房)、宇佐美毅・千田洋幸『村上春樹と一九九〇年代』(おうふう)などがある。

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