女子高生ラッパー・DAOKOが語る、音楽表現に向かう理由「心の穴っていうのは多分一生埋まらない」

「若く見られるのが嫌だった」

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――「JK」なんかはどうですか? 女子高生としての日常描写がありますけれど。

DAOKO:学校に行くことについて書こうっていうのは今までもあったんですけど、これ、いつも困ってたりしたんです。学校に対してそこまで思うことがないし、自分は結構年齢コンプレックスなところがあるから。

――年齢コンプレックス?

DAOKO:そうですね。まあ、世の中的には自分はまだ若いじゃないですか。それが嫌なんですよね。若く見られるのが嫌だったんで、レーベルに入る前は年齢を伏せてやってました。

――でも、デビューしたら「女子高生ラッパー」って肩書きがついたわけで。

DAOKO:「うわあ」と思いました。

――思いましたか。

DAOKO:まあ、今でも「うわあ」と思ってます……(笑)。腑に落ちないけど、女子高生っていう年齢だからこそ感じられることっていうのは確実にあるし、そういう時の記録は残しておいたほうがいいんだろうなって思います。

――そこに関しては自分を俯瞰で見ているんですね。女子高生という属性が自分のキャッチフレーズになってしまっている気持ち悪さも感じつつ、それを武器として活かしていこうという戦略性もある。

DAOKO:期間限定のブランドみたいなものですね。やっぱり「女子高生」ってキャッチーな言葉じゃないですか。しかも人生の中で3年間しかない。期間限定のものを前に出すことで注目を集めるのもすごくわかるし、そういう需要も感じる。「女子高生ラッパー」っていうのは他の人と区別するためにもすごく良いワードだとは思うんですよね。実際そうだったし。だから、使ってくれて全然構わないとは思ってます。ただ、自分的には見てほしいのはそこじゃなくて、内容なので。だから、不本意であるということは思います。

――なるほど。そして肩書きの話だけじゃなくて、いろんなものに感じる「不本意である」という感覚も、表現の生まれるきっかけになったりする。

DAOKO:まあ、そうですね。普段からいろんなことを考えてしまうので。気にしないで生きていくこともできると思うんですけれど、どうしても感じてしまう。なんとなく生きるよりはいいとは思ってるんですけど、まあ、生きづらさはありますね。

――例えば、10年後の自分がどんな風になっているかを思い描いたり、未来のビジョンやイメージがあったりしますか?

DAOKO:あんまりないです。これまでも目まぐるしく変わってきたから、先のことは何もわからないし。しかも10年後生きてる自信もあんまりない(笑)。小さい頃から「長生きしたい」とそんなに思ったことがなくて。

――というのは?

DAOKO:おばあちゃんになった自分があんまり想像できない。子供が欲しいとか結婚したいとか女子的な気持ちは普通にあるんですけど、それに現実味が全然ないし。だから「もしかしたら明日死んじゃうかもしれない」とか、俯瞰で考えてたりもしてます。だからこそ、今のうちに好きなことをやって生きていたい。そういう思いで音楽をやったりしてるんです。

――少なくとも、そういう自分の性格はこの先も変わらないと思います?

DAOKO:軸としては、そんなに変わらないだろうと思いますね。いきなり明るい真人間になっていることもないだろうし。

――そして、そこから表現が生まれてくるということも変わらない。

DAOKO:うん。もっと自由度は増してくると思うんです。歌にしろ、ラップにしろ、経験に伴って技術が上達してくるだろうし。でも、ずっと心に穴が空いている状況で。その穴っていうのは多分一生埋まらないんです。でも、だからこそ何かしらで埋めてないと生活できない。そんな気がします。生活できないと言うと言い過ぎかもしれないけれど、なんとなく生きることになっちゃうと思いますね。

(取材・文=柴 那典)

■リリース情報
『DAOKO』
発売日:3月25日
価格:初回限定盤(2CD)2,315円(+税)
   通常盤 1,852円(+税)

http://www.toysfactory.co.jp/artist/daoko

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