ふくりゅうが『WAVE RUNNER』をレビュー
中田ヤスタカの最新形ここにあり CAPSULE新作が海外でチャート好調の理由とは?
最新作『WAVE RUNNER』でまず注目すべきは、MVでもフィーチュアされた「Another World」、歌メロがポップに魔法がかった「Feel Again」、完全フロア仕様にポップな「Dreamin'Boy」、映画的ドラマティックな世界観をつむぎだすハードな「White As Snow」だ。中田ヤスタカ節とも言えるせつなさ満載の絶妙に裏へ裏へ伸びていくメロディ、心に響きわたるこしじまとしこによる歌声のインパクトが気持ちをアップリフティングしてくれる。ダンサブルなCAPSULEサウンドとなると、世間ではEDMカルチャーと結び付けたくなるだろうが、安易なEDMムーヴメントとの融合を中田ヤスタカは良しとしていない。EDMが盛り上がる以前からCAPSULEはそれこそ“エレクトロニック・ダンス・ミュージック”だったのだ。一時的なブームではなく“ポップスとして、カルチャーとしてのダンスミュージックとしての在り方”。そんなこだわりを感じるサウンド・プロダクションに耳を、身体を素直に委ねて欲しい。
ここ数年、CAPSULEはライブではロックフェスへ出演し、若きロックファンへ向けてダンスミュージックの楽しさを訴求し続けてきた。いわゆるワンマン公演ではないが故に、常にアウェーな形で大きな盛り上がりを生み出してきた。そんななか、中田ヤスタカのDJスタイルにも近いサウンドを鳴らす最新作『WAVE RUNNER』は、ロックフェスのダイナミズムや、クラブでのDJ経験から受けた、オーディエンスが生み出す“リターンのエネルギー”の影響を強く感じたのだ。
そしてこの春、ついにCAPSULE初のワンマンライブ・ツアーが開催される。CAPSULEファンが集結する完全なるホーム環境でのライブに期待をしたい。作品として単独で完結しながらも、オーディエンスとのコミュニケーション=ダンスミュージックの本質をとらえた最新作『WAVE RUNNER』が、ライブにおいて機能性をもって至福なサウンド空間を生み出すことに注目したいと思う。
■ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)(Twitter)
1976年東京生まれ。happy dragon.LLP代表。Yahoo!ニュース、ミュージック・マガジン、音楽主義などに寄稿。J-WAVE、MTV81、2.5D、ニコ生などでも活躍。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)
■リリース情報
『WAVE RUNNER』
発売:2015月2月18日(水)
価格:初回限定盤(2CD) ¥3,000(税抜)
通常盤(1CD) ¥2,500(税抜)
<CD収録内容>
・disc1
01 Wave Runner
02 Another World
03 Dreamin' Boy
04 Hero
05 Dancing Planet
06 Depth(vocal dub mix)
07 Feel Again
08 Unrequited Love
09 White As Snow
10 Beyond The Sky
・disc2 ※初回限定盤のみ
01 Another World(extended mix)
02 Hero(extended mix)
03 Feel Again(extended mix)
04 White As Snow(extended mix)