街中がパンクスで溢れかえるーー現役パンクロッカーのアメリカフェス出演体験記

カナダ・トロント「NOT DEAD YET FES」

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カナダ・トロントの「NOT DEAD YET FES」のフライヤー。筆者のバンドFORWARDがメインアクトをつとめた

 今回初めて訪れたカナダで出演した「NOT DEAD YET FES」では、トロントの300人規模ぐらいのライブハウスをメイン会場として4日間で約70バンドが出演し、筆者のバンドがメインアクトをつとめさせてもらった。規模としてはそれほど大きなものではなく、アフターショーも街中全体でやるほどのものではなかった。しかし、メイン会場、アフターショーともにたくさんの観客が来ていて、初めてのカナダのパンクシーンを堪能した。

 11月下旬のトロントは、夜になると気温-8℃を下回るぐらいになるためか、街中にフェスの客が溢れる程ではないが、街中を歩いているとカナダのバンドの友人にバッタリ出会ったりするぐらいではあった。

 アメリカでもカナダでもそうだが、フェスや大きなライブが行われた後には必ずと言っていいほどアフターショーが行われる。メインで盛り上がった観客達が、帰るのが惜しくなるためにほかの会場でライブが行われるのだが、このライブがかなり盛り上がったりするので、もしアメリカのフェスに行く機会があれば、アフターショーは是非経験してもらいたい。

 アメリカと日本のフェスにはこうした違いはあるが、日本の自治体や地域住民の音楽に対する理解をより深めて行けば、街ぐるみのフェスも可能になるかもしれない。音楽フェスティバルがより進化すれば、色々なバンドを知る良いきっかけにもなる。素晴らしいライブや音楽をやっていても無名なバンドなどは、こういったフェスがあればチャンスもひろがる。将来、日本でも街全体がフェスになるようなことを願っているが、この記事がそのために少しぐらいは貢献出来れば良いなと思う。

 日本とアメリカの違いを、合計4回に渡りパンクシーンを中心に書いて来た本連載だが、世界はまだまだ広く、驚くことや素晴らしいことがたくさんある。今後はアメリカだけでなく、ヨーロッパやアジアにも行き、色々なものを吸収し、また紹介できたら幸いだ。乱筆・乱文を最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

■ISHIYA
アンダーグラウンドシーンやカウンターカルチャーに精通し、バンド活動歴30年の経験を活かした執筆を寄稿。1987年よりBANDのツアーで日本国内を廻り続け、2004年以降はツアーの拠点を海外に移行し、アメリカ、オーストラリアツアーを行っている。今後は東南アジア、ヨーロッパでもツアー予定。音楽の他に映画、不動産も手がけるフリーライター。
FORWARD VOCALIST ex.DEATH SIDE VOCALIST

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