FORWARD・ISHIYAのアメリカツアールポ 第4回
街中がパンクスで溢れかえるーー現役パンクロッカーのアメリカフェス出演体験記
「CHAOS IN TEJAS」
2005年~2013年まで同じくテキサス州オースティンで開催されていた「CHAOS IN TEJAS」というパンクのビッグフェスがあり、筆者のバンドもそのイベントに2回出演し、一度友人のバンドについて行っている。
このイベントもオースティンの街中に3~4日間パンクスが溢れるというとんでもないフェスで、「FUN FUN FUN NITES」と同じような感じだが、出演バンドはほぼ全てパンクバンドであるところが特筆すべきフェスだ。日本からも筆者のバンドのほかにBASTARD、JUDGEMENT、WARHEAD、CRUDE、FRAMTID、SLANG、CROW、Origin of M、惡意、THE SLOWMOTIONS、SKIZOPHRENIA、REALITY CRISISなどの他にも多数のバンドが出演している。
世界中から有名パンク・バンドが集まるフェスはイギリスで行われていた「HOLIDAY IN THE SUN」があったが、日本から出演したバンドは鉄アレイぐらいしかなく、その点を見ても「CHAOS IN TEJAS」は日本のバンドを必ず出演させ、中国からもBRAIN FAILUREが出演したことのある、真の意味でのワールドワイドなパンクフェスだった。
イギリスからもThe Damned、Cock Sparrer、BUSINESS、Cockney Rejects、Hard Skinといったパンクロックやスキンヘッズのバンドも出演し、Amebix、Subhumans、DOOM、Antisect、The Mob、FUKなどのハードコアバンドや、アメリカからPoison Idea、TRAGEDY、Los Crudosなどのほかにも多数のバンドが出演し、カナダ・ヨ−ロッパ・オーストラリアからも有名パンクバンドが毎年多数出演していた。
オースティン中心街にあるバーやレストラン、ピザ屋からホテルにいたるまで全てがパンクスで溢れかえり、一つのモーテルがほとんどフェスの観客のパンクスで埋め尽くされ、ホテルの各部屋でもパーティーが毎夜行われているような狂気のフェスであったが、惜しくも2013年で終わってしまった。
「CHAOS IN TEJAS」では、メイン会場やほかの会場共に夜のショーのため、終わってからアフターショーと呼ばれるライブが夜中2時あたりから色々なところで行われる。橋の上だったり、ライブハウスであったりハウスショーであったりするが、終わるのは朝方4時~5時と遅くなるため泥酔者も多数になり、メチャクチャな様相だった。その上朝9時ごろから湖のボートでライブが行なわれたりもするので、「CHAOS IN TEJAS」では休める暇がほとんど無かった。
筆者は実際「CHAOS IN TEJAS」に出演した2012年に、夜のメインステージ~夜中のアフターショー~朝のボートショーと17時間ほどの間で3回のライブを行ったこともある。
ボートショーでは朝から50~60人程が集まって来て、湖で二階建ての大きなボートに全員乗り込み、飲んだり泳いだりしているところで、水着姿の観客の前でパンクバンドのライブをやる。ステージが終わった後にそのまま飛び込む人間などもいて、非常に面白いライブだった。
他にもブレックファーストショーという、朝からやるライブなどもあり、フェスの間中オースティンはパンクのライブだらけになる。こういった色々なイベントがあり、3~4日間パンクのお祭りとなる「CHAOS IN TEJAS」を毎年楽しみにしている人間は世界中にいたので、終わってしまったのが寂しい限りだ。