宇多田ヒカルカバー集の売れ行きから見える、配信ダウンロード優位の時代 

参考:2014年12月15日~2014年12月21日のCDアルバム週間ランキング(2014年12月29日付)(ORICON STYLE)

 年末商戦を狙った最後の週(23日を過ぎてしまえば、人々はCDよりもチキンを買い求め、そのあと唐突に年末年始の気分に切り替わります)。やっぱり今のうちに買っとこう、という気分にさせるのか、JUJUとEXILE ATSUSHIは熱心なファン以外も巻き込んでじっくり売れ続けている様子。力の入ったゴスペラーズ20周年記念アルバム『G20』が初登場2位というのは納得だが、ノリと勢いに任せて出した感のある『うき うき ふなっしー♪ ~ふなっしー公式アルバム 梨汁プシャー!~』が4位……。うん、年末だしね、なんとなく財布のヒモが緩くなって買っちゃったんだろうなぁ。

 普段は買わないものでも、なぜか気になって、ついつい買ってしまう。そういう時期を狙って12月9日に発売されたのが宇多田ヒカルのカバー集である。『宇多田ヒカルのうた-13組の音楽家による13の解釈について-』というタイトルも、単行本かと見紛うジャケット・デザインも、とくべつ宇多田(およびJ-POP)ファンを意識したというより、不特定多数が手にしてしまう、内容が気になって買いたくなる……という流れを狙ったものだろう。

 さて結果は。先週は初登場5位で21,326枚、今週は10位で8,971枚。昨今のセールスでいえば「悪くない」のかもしれないが、本作は価値が違う。あの宇多田ヒカルの名曲たちを、あの井上陽水が、あの椎名林檎が、あの岡村靖幸が、あの浜崎あゆみらが歌い上げているのだ。いわば日本の音楽シーンの至宝×至宝。これがたった30,000人の手元に届くだけでよいのか!と。

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