Annie The Clumsy&西寺郷太インタビュー「鼻で笑えるような音楽を作りたい」

「最終的にはエイミー・ワインハウス的なサウンド・プロダクションで歌ってるのを聴いてみたい」(西寺)

――結論からいくと、この『From My Messy Room』は、何を聴くか迷ったときにすっと手が伸びるようなカジュアルさやフレンドリーさがあってそれが大きな魅力になっているのは間違いないんですけど、でも単なるおしゃれな心地よい音楽として消費されることを頑なに拒むような毒気があるんですよ。だからヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Sunday Morning」をカバーしてるのはものすごく合点がいきます。

西寺:うん、そう思いますね。ちょっと怖いんですよ。

――で、この毒気はどこからきてるんだろうって考えたんですけど、やっぱりそれはフライト・オブ・ザ・コンコルドを聴いて培われたユーモアだと思うんですよね。ユーモアがこの作品を魅力的にしてる、と言ってもいいと思うんですけど。レジーナ・スペクターの名前を引き合いに出したのもそういうところなんですよ。

Annie:さっきも言いましたけど、やっぱり鼻で笑われる感じは欠かせないですよね。そんなに大声で笑うほどのものでもないと思うから(笑)。「フッ」と笑わせられたいいな、ぐらいのつもりで作ってるので……そういうのとダサさを混ぜてる感じ?

西寺:いいですよねえ(笑)。

Annie:どこかのお店の宣伝文句に<こじらせ女子>って書いてあって、言われるまでは気づかなかったんですけど、「あー、きっと私はこじらせてるんだろうな」って。そういうひねくれたものが自然と出ちゃうんでしょうね。

――宅録感やウクレレもそうですけど、やっぱりユーモアがこのアルバムを軽やかにしているんだと思いますよ。ソングライティング、主に歌詞を書くときに心掛けていることはありますか?

Annie:うーん、頭の中に思い浮かんだことをそのまま書き綴ったような……。

――それこそツイッター感覚というか。

Annie:本当にそんな感じですね。まあ日記みたいなものです。

――歌詞は今後も基本的には英語詞でいく感じですか? 自分の言いたいことを表現するにあたって日本語よりも英語のほうが書きやすいとか。

Annie:日本語だとあまりにもストレートすぎてたぶんファンがいなくなっちゃうと思うんですよね。もうあまりにも下品すぎて(笑)。英語だとスラングに包みながら曖昧にできますからね。あと日本語で歌うとリズムも崩れちゃうような気がして。

――漠然とでも構わないのですが、最後に今後のビジョンについて教えてください。

Annie:男ふたり女ひとりの編成でバンドをやってみたいっていうのはありますね……それは単に男に囲まれたいってだけなんですけど(笑)。あとは多国籍バンドも組んでみたいんですけど、そうするとスタジオを借りなくちゃいけなくなるし、面倒くさいからいまはとりあえずこれでいいやって(笑)。

西寺:僕は最終的にはエイミー・ワインハウス的なサウンド・プロダクションで彼女が歌ってるのを聴いてみたいんですよね。例えば、レトロなドラムでホーンセクションもちゃんと入って、でも歌はいまの彼女のままっていう。めちゃくちゃかっこよくなると思うんですよ。いずれにしても、もうちょっと作り込んだプロダクションをやってみたいです。

Annie:あとはバーテンダーの仕事もやめたくなくて……私、これまで1年以上続いた仕事がないんですよ。前もボスに中指立ててクビにされちゃったから。

西寺:え、日本で(笑)? 中指? それすごいな!(爆笑)

(取材・文=高橋芳朗)

■リリース情報
『From My Messy Room』
価格:2,000円(+税)

GOTOWN RECORDS:http://www.gotown.jp
オフィシャルブログ:http://annietheclumsy.blogspot.jp

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