コラボシングル『Fighter/Gift』インタビュー

中島美嘉と加藤ミリヤがコラボした理由とは? “意外な共通点”も明かすスペシャル対談

 

美嘉「本当は強がりの弱虫ですから……(笑)」

――ふたりともあらゆるタイプの楽曲をこなせるシンガーですが、あえて今回「Fighter」でロック色の強いトラックを選んだ理由は?

ミリヤ:一番は映画『アメイジング・スパイダーマン2』のテーマソングと、『2014 FIFAワールドカップ』公式アルバムアジア代表ソングの世界観に共通する曲を作る、というところでした。『スパイダーマン』はアメリカンロックのイメージがあり、美嘉ちゃんがロック色の強い曲を力強く歌い上げるイメージも沸いて。そもそもどんな曲でも“中島美嘉”にしてしまう才能の持ち主なので、すべての感覚をうまくミクスチャーできないかな、と思って。

――☆Taku Takahashi(m-flo)が編曲を担当していますが、どのような経緯で?

美嘉:☆Takuさんのことは以前から知っていたんですが、実は一緒に曲を作るのは初めてだったんです。私がイメージしていた☆Takuさんが作る曲とはまったく違うものが出来上がってきたので、すごく驚きました。私自身、ロックも好きなので、とにかく出来上がった曲を聴いてアガりましたね。

――近年の中島さんの歌唱法は、デビュー時と比べると大きな変化があったように感じていたのですが、「Fighter」での中島さんは、デビュー時を彷彿とさせる「ザ・中島美嘉」という印象を受けました。加藤ミリヤというアーティストと共演したことで、初期衝動を揺さぶられたりしたのでしょうか?

美嘉:私自身、まったくそんなふうに歌ったつもりはなかったけど……そうだったのかな? でも、普段からミリヤちゃんと仲が良いからって、甘えてはいけないと思った。やるからにはミリヤちゃんの個性に引きずられないよう、自分の個性もしっかりと出さないと意味がない、と思っていたから。

――ちなみに今回のビジュアルのテーマは、「美しさ」と「強さ」を表現、とのことですが、女性の美しさと強さは、時代の経過と共に変化していくものだと思います。互いが理想とする「女性の美しさと強さ」とはなんでしょうか?

美嘉:すべてが美しいとは限らないけど、私は切なさや儚さ、傷ついていることに女性の美しさを感じる。私の場合、泣きながら立ち上がろうとしている女の子を想像しただけで、胸が苦しくなっちゃう。私は“強そうな女性”と思われることが多いけど、本当は強がりの弱虫ですから……(笑)。

ミリヤ:私も一緒だなあ。美嘉ちゃんが言うように、それが直接的に女性の美しさに結びつかないかもしれないけど、私自身、そういった内容の曲を作ることが多いし。傷ついたほうが、そこに強さも生まれますからね。

美嘉:でも、楽しさを否定するわけではないからね。

ミリヤ:うん、そうだね。

――むしろ、フェイクと感じるものは?

美嘉:別にないかな。冷たい物言いに聞こえるかもしれないけど、生きたいように生きればいいと思う。自分の興味以外のことを気にしていると、そもそもの自分を忘れてしまうというか、わからなくなってしまうんじゃないかな、って不安になる。さっき話したように、私はもともと気が小さいし、「みんなの前に立ってやる!」という気持ちは少ないほうで。あまり影響されないように、人のことは気にしないようにしているほうかな。

――自分のことを客観視したい?

美嘉:したいと思っているけど、できているかはわからない。私は私が描く理想の女性を生きようとしています。そうはするけど、果たしてそれが本当の自分かどうかはわからない。でも、周囲はそれが本当の中島美嘉だと思って接してくれている。私は強がりの弱虫。でも、本当に強くありたいし、かっこよくありたい。そこを常に目指しています。

――しかし、パフォーマンスはある種、強さがないとできないものだと思います。歌詞を読むとすごく繊細な心の持ち主だと感じますが、大勢の人の前で歌い、乗り越えていくことは、本当の強さなのでは?

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