シドShinji、ELT伊藤一朗、UVERworld克哉 & 彰……実は凄腕なギタリストたち6選
実力派の次世代ギタリスト3選
後半はちょっと視点を変えて、今後注目したい実力派の次世代ギタリストを紹介したい。
TOTALFAT:絵に描いたような華麗なHR/HMギター、Kuboty
西海岸の香りのするゴキゲンなメロディックハードコアナンバーに乗せて、とにかく弾きまくるスタイルが印象的。
タッピング、スウィープ、エコノミー・ピッキングなど、HR/HMの模範ともいうべきプレイの応酬。普通はこれ見よがしに速弾きされると、正直くどさを感じてしまうことも多いのだが、そのピッキングの的確さと堅実なプレイは打ち込みのシーケンスかと思ってしまうほど華麗かつ流麗。何よりこのバンドの爽快感をより一層際立たせているという点で、無くてはならない存在感を放っている。
PAチェックのリハーサルの際にX『BLUE BLOOD』のリフが鳴り響けば「あ、TOTALFATのライブ!」と思ってしまうのは、もはやお家芸だ。
宇宙コンビニ:ポストロックでポップなハイテクギター、Daijiro Nakagawa / だいじろー
このバンド名で女性ボーカルで…と考えると、良い意味で期待を裏切られるバンド。
両手を巧みに使ったタッピングとハーモニクスを中心とした「ハイテク奏法」と呼ばれるプレイが中心。インストや即興演奏・実験音楽要素の強いプレイスタイルを見事なまでに歌モノポップスと融合させている。
実に鍵盤楽器なアプローチであり、テクノにも通じる匂いを感じさせ、エレキギターという楽器の未知なる可能性も感じる。エレキの中では珍しいオベーション製ギターを使用しているところからも、B級ビザールギターマニア的な強い志向も伺える。
MAMADRIVE:鬼気迫るプレイを見せる硬派な女性ギタリスト、ササカワマイカ
最後に紹介するのは、近年増えてきている個性的な女性バンド・ギタリストの中で特異な存在感を放っている彼女。
ニューウェーヴ~ポストパンクな硬派なギタースタイル、時に狂気すら感じてしまう鬼気迫るプレイ。切り裂くようなカッティング、巧妙なサウンドメイクはもうセンスの良さしか感じない。
エレキギターはカッコよければそれでいい
日本人ギタリストの重鎮、Charの言葉を借りれば、「ギターのおもしろさって『これが弾けるからプロです』とかさ、そんなのがはっきりしないこと。クラシックはそうじゃなくて、何が弾けるのかでレベルが決まる。エレキギターはカッコよければそれでいい」。
そう、カッコよければいいのだ。
バンドの花形とも言うべき、ギター。そのプレイスタイルもサウンドもバンドや楽曲のイメージを大きく左右する要である。テクニカルなプレイを極める人、あくまで歌の伴奏として捉える人、その表現方法は様々で自由であり、そこに優劣などは存在しない。
ヒットチャートの外に居るような音楽にロックを感じてしまうことだってあるだろう。ただ、そんな固定観念に囚われてしまい、本来の音楽に気が付かないのはもったいのないこと。普段何気なく聴き流しているようなものの中にも、ギターひとつに耳を傾けてみると、そこに秘められたこだわり、本質に気が付くかもしれない。
(文=冬将軍)