星野源『情熱大陸』で闘病の日々語る「辛いことの中には、意外と面白いのが混じっている」

 そして、星野は文筆家としての顔も持つ。「ざわついてた方が集中できます。家だとできないから、いつも喫茶店とかで書いてます」と話し、作品作りの原動力として「本当はアウトプットしないで生きていけたらいいと思うんですけど。どうしてもそうしないと生きていけない感じがあって。面白いものを作るぞっていう人たちが集結して、頑張って作ったものを見ると、物凄く元気が出るんです。自分もそういうものを作っていきたいなと思うし、そういう風に思ってもらえたらいいなあと」と語った。

 少年時代、いじめにあっていたという星野。それが原因でパニック障害を発症した星野は、精神安定剤を服用するような日々が続いたという。高校生になってもその症状は治らず、学校に行けなくなり、家も出れなくなった。そして、いわゆる不安神経症を患う。ひどく追いつめられた高校時代、星野はクレイジーキャッツの『だまって俺についてこい』という一曲に出会う。“そのうちなんとかなるだろう”という歌詞に救われたという星野は「当時の自分は完全に絶望していて、俺はこれから完全に狂ってしまうんだと思ってたときに、『そのうちなんとかなるだろう』ってあの声で歌われたときに、これを信じるしかないというか。(中略)自分にとっては、物凄い命綱みたいなもんだった」と語る。その時の思いがあって、自分もそういうことを思ってもらえたらいいなと思うと話す星野。いつもの朗らかな表情ではなく、窓の外を見ながら、ぽつぽつと思いを吐露する、真剣な眼差しが印象的だった。

 自らの病気をギャグにした、看護婦姿の女性に連れられて登場するオープニングを幕開けに、1万2000人の観客が待ちわびた武道館公演は大成功を収めた。そんな星野の公演後の第一声は「あ~、疲れた~」。思いの外感慨深くないと話し、スタッフを驚かせる。そしてナレーターが「感動は?」と訊くと、「ないっす」と即答し、大笑いする星野の姿で番組は幕を閉じた。

 星野の飾らない素顔と、飄々としたなかに見せるシリアスな表情が印象的だった今回の『情熱大陸』。本格的な復帰を果たした星野源のこれからの活躍を前に、彼に新たに惹き付けられる視聴者も多かったのではないだろうか。

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